コミニュケーション
設計事務所に勤めて、初めて現場に行った時の事です。鉄筋コンクリート造の物件で、配筋検査(鉄筋が正しく入っているかの検査)をするという事で、先輩について初めて現場に行きました。
最初は『現場ってどんな感じなんやろ??』と興味深々でした。現場に到着してヘルメットをかぶり現場の中へ。。。スラブ(床)にはすでに鉄筋があり、とても歩きにくい状況です。ヨタヨタしながらも、新米の私はなんとか先輩の後に続き配筋検査の様子を見ていました。おそらく、私のヘルメット姿も、サマにはなってなかったのでしょう。そんな私に鉄筋屋の職人さんが
職人)『ねぇちゃん。何しにきたん?』
私) 『・・・(内心、こわぁ〜〜。)』
職人)『すること無いんやったらそこの鉄筋とってぇなぁ〜』
職人さんの指さした私の足元には鉄筋の束が。。。
私) 『!?・・・』
滋賀に来てからまだ3年目だった私。関西弁に慣れていなかった事もあり、ドキドキして何と言ったらいいのかも分からず、無言でその場を去ったのを今でもよく覚えています。
それからしばらくの間、私にとって現場は、あまり良いイメージではありませんでした。今では笑い話でしかありませんが、その当時は『また怖いおっちゃんに声かけられたらどうしょう・・・』という恐怖感みたいなモノがあったように思います。
でも、ある時、その思いが吹っ切れた瞬間がありました。いつだったかはよく覚えていませんが、現場に入る時に大きな声で『ご苦労様です!!』と職人さん達に声をかけてから現場に入るようになった事がきっかけでした。現場が怖いと思っていた時は、ついつい声が小さくなり、どこかオドオドしていたのかもしれません。でも、最初に大きな声で現場に入る事で、何かが吹っ切れたように思います。
あいさつはコミニュケーションの始まりと言いますが、現場ではそれが大切だなぁ。と思う事がたくさんあります。職人さんでも、よくしゃべる方から無口な方までいろいろです。最初は無口な職人さんという印象だった方が、現場の終わりに近づくと、職人さんから話かけてもらえるようになったり、いろんな知識を教えてもらえたりします。そういう中で、本当の意味での職人さん達の『ご苦労』を知ったりもするのです。
きっと初めての現場で会った鉄筋屋の職人さんも、からかい半分、コミニュケーション半分で新米の私に声をかけていたんだと、今は思います。あの時、『鉛筆より重いモン持ったこと無いし、無理やわぁ〜』ぐらいの返事が出来ていたら、そこからがコミニュケーションが始まっていたんでしょうね。まぁ、当時はまだ20歳でしたから。。。私も歳を重ねたという事ですね。。。