節
木材には節がある。あたりまえのことなのですが、これが難しい。一昔前では木材は無節が一番とされていました。節のない檜の木材などは確かに美しいものです。しかしながら、高額になり、庶民には手が出ません。しかし、節のない木材が上等、節のある材料は安物という考え方は最近では薄れてきて、節のある木材もいいじゃないかという雰囲気です。
私は最近、木材の端材を使ってテープカッターを造ったり、おもちゃを造ったりします。そのときに節の扱いがすごく難しくなります。その節が死節なのか生節なのか。やはり死節は使い物になりません。生節だとかえって節を活かして面白いものができます。
山で木を育てるときにいつどのように枝打ちをするか。自然と枝が枯れたときにどのような状態になるかで、死節になるかどうかが決まります。現在のように山が手入れされなくなると、節の状態もあまり良いものでなくなってくるのではないでしょうか。昔のように無節の柱や材料を作るために林業経営を行なうのではなく、節があっても製材したときに美しく、強度も落ちないような材料を作るための育林方法も考えなくてはならないでしょう。
最近では木のことをあまり知らない設計士も木造住宅に取り組むようになりました。節のある一等材なら安いだろうと考えているだけのケースがよくあります。節のある材料を造作材に使うのは非常に難しいです。良い素直な材料を集めて仕事をするのは大工さんにとって楽なことで、節がある材料を扱うのは大変な努力と技術が必要です。そのあたりもよく考えなくてはなりません。
節といえば材種によって表情がぜんぜん違います。檜の生節は非常に美しいです。杉の節もなかなか味があります。耐水性の高い槙の木の節も美しさがあります。これに引き換え外材の米松の節はあまり美しくありません。私達が杉の一等材を化粧で使うのも、国産材を使わなければという理由だけではなく、杉の持つなんともいえない節の美しさのためです。
節について神経質になりすぎると木の住まいを建てることはできませんが、大工さんが節をうまく活かして使う工夫について評価をしてあげたいものです。