小さく建てる

三和総合設計

2004年09月21日 18:08

私の娘が短大に通学するために軽自動車を購入しました。あまり自動車に頼る生活は良くないと思うのですが、県の中央に琵琶湖を有する滋賀県で対岸の学校に通学するために、琵琶湖大橋を通って通うか、列車でぐるっと廻って通うか。時間がかなり違うのでやむを得ず自動車を購入ということになりました。少しでも燃費が良いようにと軽自動車を選んだわけですが、最近の軽自動車の内部は充分な広さがあることに驚かされました。昔の軽自動車にLLサイズの私が乗ろうものならウルトラQのピグモン状態(かなり年配でないとわからないギャグ)でしたが、最近は規格も変わったことも手伝って充分な広さが確保されています。もちろん荷台が狭いなどなにもかもOKという訳には行きませんが、使用方法を充分考えれば、普通車よりもむしろ良いのではないかと感じました。
これを住宅に合わせて考えると同じようなことが言えそうです。クラウンのような立派な家が良いのに決まっていますが、かかる費用も多額になります。形だけは大きくて経費を抑えようとすると内部が貧弱になります。自動車の場合は極端なことはないのですが、今の住まいは大きなボディに耐久性の問題のあるエンジンを載せているようなものです。住まい手の方々とお話しすると、とりあえず住まいは大きくなっていきます。今の住まいで6帖の部屋で生活されている方が大きさに不満をもたれたら8帖という希望が出てきます。6.5帖や7帖ではなく、8帖です。日本の住まいが畳中心に造られていた名残が板の間でも出てきます。最終的は予算が厳しくなり、大きさはそのまま保ったまま、使う材料が安っぽいものになったり、化学物質で作られた建材になったりします。そこにシックハウスなどの原因もあるのです。
私たちは、小さくても快適に住める住まいを提案しています。設計事務所だからこそできることです。有名建築家のようにデザイン優先ではそういう答えは出てきません。無駄があってもデザイン優先なんてことになってしまいます。小さくても快適に住める住まいを造るためには、施主との対話が重要です。8帖の部屋が欲しいのではなくて、以前住んでいた住まいの6帖の部屋に問題があっただけで、極端な話をすると少し小さくなっても施主の満足が得られることもありうるのです。
私の知り合いの方が、ある建築雑誌から出版された家づくりの本の中に書かれています。
日本の家は小さくて「うさぎ小屋」なんて外国から揶揄され、欧米並みの広い家じゃないと豊かな暮らしはできない、と思いこんでしまったようですが、私はそんなことはないと思います。いや、小さい家にこそ豊かな暮らしがあるように思います。地方の農家やお金持ちの商家は別にして、町屋ではうまく小さく暮らしてきたのがわが国の文化だったと思います。(エクスナレジ:野池政宏著 じっくり派のための家づくり講座?より)
まさに言い当てた言葉ではないでしょうか。限られた予算の中でいかに満足するものを造るかが重要で、家の広さが大きい事だけがよいことではありません。
小さな家なら、固定資産税も安いといったメリットもついてきます。・・・・