手持ち家具が似合う家

三和総合設計

2004年06月18日 18:24

住まいの設計を行なっていると、収納をどのようにするかというのが大きなテーマになります。「私は収納が苦手だから、できるだけ大きな収納スペースが欲しい」といわれる方が結構おられます。将来、物は増えていくでしょうし、収納が多いに越したことはないのですが、収納スペースというのは意外と費用がかかるものです。昔から「押入れ一人」といって、鴨居や敷居をつけた後、一人前の大工さんが一日手間がかかるのです。もちろん、収納には扉がつきますから、それを合わせると1箇所につきすぐ10万ぐらいの出費となってしまいます。私たちは収納をできるだけ有効に使いやすく配置し、必要以上にとることは、コストの関係上あまりおすすめしていません。また、どこの家庭にも、嫁入り家具があり、これをどうするのかという問題が挙げられます。新しい住まいをつくるのに、昔のデザインの家具は合わないという理由で、納戸にいれてしまおうとか、家具を収納の中にいれて、扉をつけて隠してしまおうといったこともよく話題に上がります。そういう解決方法を採用することもありますが、コストのことを考えると無駄な出費にもなります。私が住んでいる住まいは、事務所の前にあり、モデルハウス的に皆さんにごらんいただいているのですが、婚礼家具はすべて、寝室に置いてあります。家具のデザインは割りと古いものですが、意外と違和感はありません。自然の木でできた住まいは、すべての物を包括してしまうだけの優しさがあるのでしょうか。私たちは、住まい手の方々が今お使いになっておられる家具は新築に伴いお捨てになられるものを除き、すべて寸法や形状を聞き、デザインを確かめ、新しい住まいにうまく持ち込めるように考えています。極端にいえば、カラーボックスを置いても似合う庶民的で温かみのある住まいづくりを目指しています。