清潔志向とアレルギー
今日の新聞によると、日本人の清潔志向とアレルギーの増加が関係あるようである。
日本人の「超清潔志向」が人体を守るべき寄生虫や細菌をも排除したためアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症などが増えているのだそうだ。(藤田紘一郎東京医科歯科大学名誉教授の講演による)
寄生虫のいるインドネシアのカリマンタン島では、し尿が流れている川で子供が遊んでいるが子供の肌はツルツルだそうだ。日本では、1950年に62%だった回虫の感染率が5%を切った1965年から喘息、花粉症、アトピーが急増しているのだそうだ。
世界一きれいな無菌の学校給食でO−157の集団中毒が起きたが、O−157は生きる力が弱く、普通では雑菌に負けて存在できないのに、身近な共生菌まで排除しているためだという。
近頃では、子供も過保護になり、砂場で遊ぶのも汚いと考えられたりする。
沖縄・那覇市の調査では、どろんこ遊びをする子、第一子より手をかけない第二・三子、母親が働いている子はアレルギーが少ないらしい。
西洋医学の薬で病気を治療しようとすると、その病気を治しても、他の有用なものまで排除してしまうらしい。一原因を一物質で治そうとする西洋医学の限界だそうだ。
振り返って、住まいを考えると同じことがいえると思いました。
最近では、住宅の販売競争が激化し、住まい手に対し何か売り物になるものを探し、特にその部分を強調して表現するようになりました。
ある一部の性能を高めるために他の部分が良くない状況にあるのは、一般の住まい手に知らされていません。ひょっとしたら、住宅を販売しているメーカーも気がついていないのかもしれません。
最近では、ハウスメーカーもだんだん強調する部分が少なくなってきて、価格のほかは耐震に集約してきたようです。
耐震といえば「2×4工法」とまで一般の方々に浸透させてきたツーバイフォー工法ですが、日本の高温多湿の気候風土では壁内結露に対応が難しく、耐久性に問題があるといえます。
地震は、住宅を建ててすぐ来るわけではないので、長い時間を経過したときのベニヤ板が腐ってきた状態での耐震性などは考えられていません。
現在のように、住まいの寿命が25年と短い場合は問題ないかもしれませんが、これからの住まいはもっと高い耐久性が要求されます。
そういったすべてを同時に考えるという思想が、細菌の問題と同じように忘れられています。
住まいの性能はどれ一つ欠けても問題があります。どんな性能が飛びぬけてよくても良い結果は得られません。
日本の気候風土において、すべての性能が総合的に優れているのは木造在来工法であることをもう一度お伝えしておきます。