日吉大社山王祭の湖上輸送復活
滋賀県大津市坂本にある日吉大社は建築を学ぶものにとっては、西本宮、東本宮の国宝建築物が有名ですが、一般の方々には春に行なわれる「山王祭」が有名です。
山王祭は、人の見合い、結婚、出産、誕生の流れにそった神事だそうです。
毎年、何日にも分かれて神事が行なわれますが、山の山頂から夜、神輿をおろしてくる「牛の神事」は見ていても恐ろしいものがあります。子どもが産まれてくる苦しみを表したものだと聞いています。
この「牛の神事」には私たちの知り合いの職人さんたちも参加されています。
祭りの有名な部分はこの「牛の神事」や「宵宮落し」ですが、そのほかにもいろいろな神事があります。
後日神輿は船渡御となり、唐崎沖まで渡って、大津市の石山の粟津から御供(ごく)を奉納することになります。
今回はこの御供(ごく)の輸送を陸送していたものを、半世紀ぶりに復活させようとするものです。
輸送は最近作られた観光用の外輪船なので少し雰囲気が会わないと思いますが、できるだけ歴史に合せた神事にという思いなのでしょう。
滋賀県や大津市はもともと湖上輸送が盛んでした。
地名などもほとんどがその名残があります。
最近では、琵琶湖の環境問題が論じられることも多いのですが、もっと琵琶湖を有意義に利用していくことも考えたほうが良いと思います。
最近の湖上レジャーといえば水上バイクのように個人が爆音を出しながら騒いだり、外来魚のブラックバス釣りを楽しんだりするものが多いのですが、もう少し環境と両立しながらのレジャーや観光などを考えてほしいものです。
環境といえば、まったく利用しないことばかりを考えます。法律で規制すると、その法律で規制されていないことは何でもOKみたいなことになってしまいます。
そういうことではなくて、生活に密着した利用をしながら、環境を考えていくという方が、環境を考えるようになると思うのです。
今のやり方は、とりあえず琵琶湖を汚さないということは考えるけれど、県民はあまり琵琶湖と関係のない生活を送っているのです。
湖上交通もその一つですが、道路にあまりに予算が投入されるために湖上交通は採算が合わないでしょう。道路は少しでもおかしいところがあれば、公費で修繕、渋滞箇所ができれば拡幅、踏切が邪魔になれば高架橋をつくるなど、あまりに手厚くされすぎです。
自動車社会が環境の悪化を進めていることは間違いありません。
今回の海上輸送も神事だけでなく、もう少し生活に密着したところで進められるといいのになと思っています。