耐震強度偽造建物の設計の罰則強化

三和総合設計

2006年01月26日 07:15

耐震強度偽造の再発防止策として建築士に今までよりも重い懲役や罰金を科すように建築士法が改正されるようです。

事の重大性を考えると当然のことですが、建築士の立場からいえば片手落ちのような気がします。
今回、姉歯建築士が偽造を行なった原因は特定されていませんが、デベッロパーや建設会社からの要求があったことはほぼ間違いないと思います。
建築士が今回のような偽造を行なって利益を得ることはほとんど考えられないので、偽造の要求を行なえないようにする必要があるのです。
つまり、基本的に建物使用者が設計者に直接設計を依頼することが大事で、間に建設会社や工務店が入ってしまうとそこに建設会社などの利益追求の思いが入ってしまうのです。
今回のように、分譲マンションや建売住宅などは建築の発注者と建物使用者が違うので、建築主自体が利益追求のために手抜きを指示すれば同じようなことが起こってしまうのですが、建設会社が間に入るよりは少しはましだと思いますし、問題が発覚したときも責任が明確になってよろしいのではないかと思います。
一般建築や住宅においても、日本だけは発注者から工務店を経て設計事務所に設計が発注されることが多いのです。このことは昔から問題と指摘されていますが、日本の長い慣習の中でなかなか変わることはありません。この設計の発注のルートを変更しなければ、いくら建築士の罰則を強化してもトカゲのシッポ切りに終わってしまいます。(建築士の仕事はトカゲのシッポのように扱われるようないい加減なものではありません)
この発注ルートの変更は法律や制度を変更することもなく簡単にできることです。
発注者が建設会社や工務店に設計も一括して依頼せずに、まず設計者に設計を依頼すればすむことなのです。建設会社や工務店は特に設計がしたいわけではなく、施工の仕事が自分の会社に来るようにしたいがため、営業として設計を受けるのです(だから、設計の仕事を一括で受けても下請に出すのです)。
まじめで技術の高い工務店に施工を依頼することをあらかじめ決めた上で設計者に設計を依頼する方式を考えればよいわけで、むやみに入札や相見積もりなどを行ない、安さを追求することをしなければ、建設の業界はもう少し落ち着いた感じになると思います。