滋賀県が森林税を導入します

三和総合設計

2006年01月31日 12:14

滋賀県が森林税を導入するという話が新聞に掲載されました。

県民税として税金を徴収し、森林の環境に寄与する部分に税金を活用していこうとするものです。
やっとこういう税金ができることになったかという感じです。
税金を徴収するということは、今の時代、税金が無駄使いされている中で反対も多いと思いますが、滋賀県は「環境県」ということで、琵琶湖を支える森林の環境性を考慮することで県民の理解を得たのでしょう。
この税金の使い方は、主要な道路から500m以上離れたところにある植林された杉や檜などの針葉樹林を広葉樹の混じった混合林に変えることにより、環境林として再生していくことが柱になっています。昔、充分な検討がなされずに、どこまでも山奥まで植林をしていった努力は無駄にされることになり、当時の行政指導者の責任が問われるところです。責任といっても、山の場合スパンが長く、当時関わった人々の追及はできませんが、今後、行政主導の事業に対し、充分な実現可能性などが担保されているかなど、県民としてチェックしていく必要があると思います。
税金はその他小中学生の間伐体験や里山保全活動などにとり組む市民活動の支援などにも使われます。
森林税が活用されることにより、森林環境が保全されることが一歩進むとは思いますが、大きな点が忘れ去られています。

森林税の活用は、上記のように環境林の再生などを中心に考えられていますが、今、森林の持つ最も大きな環境性は森林資源の活用なのです。
森林資源を活用するということは、まだ、環境破壊と考えている人もいます。これは大きな間違いで、50年ぐらいで育つ木材を活用し、50年以上耐久性のある住宅を造っていけば資源が循環し、エネルギー消費の大きな削減につながるのです。
最近の住宅のように、採掘資源である石油資源を多用し、耐用年数が25年ぐらいの住宅を建てればいずれ資源が枯渇しますし、石油資源や採掘資源などを建材にするときに多大なエネルギーが必要となります。また、そういった建材は廃棄の際にもさまざまな問題が起こります。
このように再生可能な資源である木材を活用し、その育林サイクル以上の耐用年数を持つ木造住宅を建設していくことが森林国日本にとって最も大事な事なのです。
ですから、今回導入された森林税も一定は林業の再生事業にも使われる必要があるのですが、今までの森林行政が補助金の無駄使いのようなことを続けてきたため、県民には理解されにくいということで林業再生事業には活用されないようです。
確かに、林業の補助金は田んぼの減反の補助金と同様、かなり無駄使いされてきたと思いますが、過去を反省することは大事なことですが、将来を見据えた政策を考えていかないとさらに後悔は深まることになると思います。
日本の林業を再生させないと、多くの外材を輸入することにより他国の環境破壊を進め、日本の貴重な資源である森林は荒れ果て、20年も経てば資源として役に立たない森林となるでしょう。

環境という問題をもっと包括的に考え、有用な政策を進めていく必要があると思います。