みんなが集まる居間

三和総合設計

2006年02月02日 12:16

今日は、住まいづくりのソフトな面を一つご紹介します。

私どもの仕事は設計事務所。工務店の設計部や設計担当とも違います。
何が違うかというと、住まいの設計というものにとことんこだわる部分です。
住まいの設計は、間取りができればそれで完成という風に思っている方も住まい手の方々にも多いと思いますが、工務店や不動産屋さんハウスメーカーなどでも同じように考えている人が多いのです。
しかし、同じ広さの居間があっても、使われ方はぜんぜん違ってきます。そこをどのように使うのか、その使い方を考えた上での空間やデザイン、家具、照明などでなければ、広いのだけれどあまり使われないといったことにもなってしまいます。


私の家の居間は2階にあります。
あまり広くない敷地だけれど、冬は日当たりが良くぽかぽかで暮らしたい。隣の家が建てられても、いつでも廻りの山や青空を見ながら暮らしたいなどと考えて2階を居間にすることにしたのです。
写真は、その居間に置かれた杉の大きなテーブルです。
杉の幅広い板を2枚はぎ合わせたものでかなり広々としています。施工をお願いした大工さんが市で買ったものを1枚分けていただいていたのですが、家を立てる際にもう1枚追加で譲って頂き、大きなテーブルに加工していただいたものです。
我が家では、みんながここに集まって団欒します。インターネットを見るもの、テレビを見るもの、明日の試験のための準備をするもの、みんなごちゃ混ぜです。でも、お互いの意志の疎通はばっちりです。
居間を一番居心地の良い部屋にして、子供部屋や寝室は最低限必要な程度にとどめています。そんな住まいづくりの方が、子供たちとのコミュニケーションが図れるのです。
「2階が居間です」とお話しすると多くの方が、1階に子供部屋があると勝手に出て行ったりして子供の教育によくありませんかと言われるのですが、そんなことはありません。
楽しい団欒をつくれば必ず居間に集まり、コミュニケーションが図れるのです。

この間テレビを見ていたら、灯油の値段が高くなった対策として、子供部屋での暖房の禁止などのルールをつくって節約している方の話が出ていました。灯油の値段が上がったにもかかわらず、昨年と比べて半分ぐらいの暖房費になったということです。
極端な話ですが、その話の中で、暖房は居間でしかつけないといわれていました。そうするとみんなが居間に集まり、家族間のコミュニケーションが良くなったとおっしゃっていました。
そうなのです。住まいの良し悪しは部屋の広さだけでは決まりません。
むしろ狭く、使いにくくするほうが良い場合もあるのです。もちろん、ある部分を狭く、小さくすることにより他の部分を豊かにすることができますよね。
最近のように、安く、大きく、早くという住まいづくりでは、一見満足感の得られそうな感じはしますが、なかなか簡単にはいかないものなのですよ。

そのあたりのお手伝いをするのが私たちの仕事です。かなりプライベートな部分にも立ち入ってお話しすることも多いのですが、そうすればそうするほど後で「しまった!」ということが少ないのも事実です。