住宅用火災報知器の義務化

三和総合設計

2006年02月03日 13:49

今年の6月から新築される住宅に、また、既存の住宅には5年後までに住宅用火災警報器の設置が義務化されることになっていることが新聞に記載されていた。
またまた、ばかげた法律ができたことに情けない思いです。
火災報知器を設置することが悪いことだと言っているわけではありませんが、法律化しすべての住宅に義務化することを少しおかしいのではないかといっているのです。
火災報知器などのメーカーに、消防関係のOBが天下りしていないか調べてみるべきです。
火事というのは非常に恐ろしいものですし、一旦火事になったときには火災報知器が避難の役に立つだろうということですが、火災の発生率はどれぐらいのものなのでしょうか。住宅において使う暖房器具の種類によって火災の発生頻度も違うでしょうし、住んでいる人がタバコを吸うかどうかによっても火災の頻度は違うでしょう。何でもかんでも法律ですべて網を掛けてしまうほどばかげたことはありません。
もちろん、火災警報器の設置には費用がかかります。一軒の住まいで3万円程度だそうです。なんだたいした額じゃないなと思われた方もおられるかもしれませんが、無駄なものもいろいろつければボディーブローのように効いてきます。
少し前に、すべての居室に換気扇の設置(工夫ですべての部屋でなくても大丈夫ですが)が義務付けられたばかりです。健康被害を防ぐためということですが、これも、化学物質を多用している住まいも、自然素材で造った木の家もすべて一律に義務化です。案の定、木の家をつくっている造り手からはおかしいのじゃないかという話が出ましたが、これも、住まいは良くても持ち込まれる家具に問題があるかもしれないという訳のわからないような説明で一蹴されています。自然素材を使った木の住まいなど法律をつくる人の頭の中にはなく、文句を言っても少数派ですので無視されてしまいます。
こんなにいろいろと意味のないものにお金を使わせられると、だんだん建物本体が変なものになってしまいます。
換気設備をつけるためにお金がかかるから、住まいの内装材は自然素材を使えず、化学物質を使った健康に悪いが安くつくクロスを貼ろうというようなことが起こってしまいます。本末転倒というしかありません。

先日も、私たちが設計した店舗と自宅と賃貸ワンルームマンションが一緒になった建物のオーナーから頼まれて消防法改正に対する処理を行ないました。
建物は小さな建物なのですが、法律改正により危険な雑居ビルに該当することになったというのです。
この法律の改正は、歌舞伎町の雑居ビルの火災事故が原因だそうですが、あの事故を振り返ってみると、避難経路に燃えるものがたくさん置いていたこと、道路側の窓が看板などでまったくふさがれていたこと、営業している業種に安全上の問題があったことなど、建物の防災設備などにまったく関係がないことが主因だと思うのですが、そんな事故を機会に法律改正をして、どこから見ても安全性に問題のない小さな建物にまで法律の網をかけてしまうのですからあきれてしまいます。
矛盾した法律改正に対し、行政に文句をいうと、「現場でも少しおかしいと感じている」という声が出るのですが、日本の行政制度では、地方の行政マンは悪い法律だろうと何だろうと、法律どうりに法を執行するのが役目なのだと言い切ってしまいます。
おかしいと感じたら、現場の意見としてしっかりした意見を返して欲しいのですが、とっても無理なようです。

法律を作る際によく考えていないのか、天下り先を儲けさせるためなのか、両方なのか。どちらにしてもあきれるばかりです。