外観デザイン

三和総合設計

2006年02月27日 08:18

今日は建物の外観のデザインについてお話したいと思います。


写真はいつもよく話しに登場する我が家の外観です。我が家のすぐ左に見えている蔵はお隣の建物です。このように私の住まいは、先から建っている近隣風景を壊さないようにデザインをしました。よく言われますが、住まいの外観は公共物であると。
そう考えると、良くないデザインももちろんですが、単体としてどんなに優れた建物でも周囲の景観を壊すような建物ではダメだと思うのです。



この写真は西面のファサードです。前にも述べたように、この建物は2階に居間があり、西面は作り付けの大きな本棚があります。大きな本棚を造りたかったのはもちろんですが、西面に窓をとると夏、西日が入ってすごく部屋の中が暑くなります。もちろんカーテンやブラインドなどでも多少の調整はできますが、やはり開口部を設けないほうが夏の暑さには良いのです。
そういう平面プランに対し、そのまま外壁仕上げをすると何の変哲もない、デザインとしてはあまりよろしくない建物になってしまいます。そこで、中央部のスリットのデザインということになります。中央部のスリットは側面と同じガルバリウム鋼板の細かなピッチで凸凹加工された製品です。もちろんこの材料を使うことにより、製品代は高くないのですがモルタル壁とガルバリウム鋼板の取り合い部の納めなどに手間がかかり、若干費用がかかってしまうのですが、のっぺりした外観になることを考えれば比べ物にならないほどの効果があると思っています。
このように、建物の性能や住まい手さんの要求に対し、デザインの面でも答えを出せるのが設計事務所の良いところだと思っています。あまりにも気をてらったデザインであるのはまずいのですが、住まい手さんの希望される通りのプランで造ったらかっこ悪い建物になったというのでは良くないですよね。
そのほか、夏の暑さをしのぐ深い軒、玄関廻りに安らぎを与える杉板の壁など、機能をデザイン化し、なおかつメンテナンスなどのしやすさなども加味して設計を進めるのはすごく大変なことなのですが、より良い答えが見つかった時の設計者の喜びは何者にも変えるものはありません。

知り合いの工務店さんが、「お宅の住まいのようなデザインにしてと頼まれたよ」とおっしゃっていましたが、なかなかデザインと機能や要望をまとめきるのは難しいよとお話させていただきました。
設計に多くの時間を掛けることができる設計事務所だけができる技なのだと自負しています。