滋賀でも出ました!

三和総合設計

2006年10月28日 07:23

今、各地で話題になっている高校の必修飛ばし。

滋賀県の高校は今までなかったのですが、昨日やっぱり出ました。
遅くにわかったということは、ごまかし、隠そうとしていたということですよね。

この問題については、今の教育のあり方を充分考える必要がありそうですね。
受験がすべてのような教育体系を作っておきながら、その考え?にそった行動は必修とばしという問題だ!ということになるのです。何か変ですね。

話は少し横道にそれますが、最近、木造の伝統的な住宅の耐震性を検討するために「限界耐力設計法」を勉強しています。
この設計法で伝統的な建築も耐震性を検討できるようになったのですが、「限界耐力設計法で伝統的な建物の耐震性が検討できるようになった」というのが勝手に読み替えられて「限界耐力設計法で検討すると伝統的な建物が耐震性があることが証明できた」となってしまっています。

伝統的な建築物でも、耐震性を検討すると耐震性の低いものもあります。それなのに、伝統的な建物はすべて耐震性が証明されているかのように表現されているのです。
これは、伝統的な建築物が近年まで建築基準法の不備により(今でもそのままですが)耐震的にNGの判断をしていた反動のようなものなのです。
今までうっぷんがたまったり、確認申請でうその筋かいを入れたりしてごまかしていた人たちから魔法の設計法のように取り扱われるようになったのです。

しかしながら、この限界耐力設計法をしっかりと操れる人はほとんどいません。
それなのになぜ安全といえるのか。そういった業界のいい加減さに感心?させられてしまいます。

このあたりで少し話が戻ります。
この設計法を勉強しようとすると、今までの勉強と少し違うことがわかります。
今までの設計法は、いろいろな強度などが法律で決められています。そのため、学習する内容は法律や制度や決め事なのです。
本当の理論がわかっていなくても、この建物は安全だなどと決めてしまえるのです。
ですから、法律を守っていても実際は?ということももちろん考えられます。

限界耐力設計法ももちろん解説書などを読み、その公式などに当てはめていけば答えが出て、OKまたはNGの判断ができますが、そこに至るまでの考え方がきっちりと説明されています。(今、限界耐力設計法を行なっている人の中にも理論が理解できていないひとも多いと思いますが)

この考え方を理解するために、学生のときに学んだ内容が生きてくるのです。(横道から戻るのにすごく時間がかかりました(^_^;) )
物理の運動方程式、微分、積分、行列式などを始めとして、大学で学んだ内容がぞろぞろ出てきます。
大学などで学んだことはこんな形で生かされるのだなと思っています。

今の社会は、できるだけ高い技能や知識がなくても進められるようにという感じで進んでいます。
そうすると高校や大学で学んだ内容を生かすところはほとんどありません。
大学受験はその子のおおよその適正をみたり、全体での能力を判断するためだけにしか使えることがありません。
大学の講義は社会で何に使われるのかわからないまま進めれれるので、現実感もありませんし、もちろん授業を聞くのも苦痛です。

短大で非常勤講師をしていますが、そのときは社会でどのようにその講義内容が使えるのかを意識して教えることに努めています。
自分でも大学の授業内容がこんなところに関係してくるのかと思うこともありますし、より良いものを造ろうとしたときは学問も生きてきますが、そうでない場合は学校で学んだことはほとんど意味がないことも見えてきます。

今の社会は、金儲け主義。本当に良いものを造ろうとするよりも、よく見えて儲かるものを探すということが中心です。
ですから、偽者ぞろい。耐震性についても全く知識のない人が、老人などを狙って金物を付けて廻るような商売が横行しています。

こんな社会をまず直さないと、今の教育のゆがみも直りませんね。
昔のように、技術を売り物にした日本を取り戻したいものです。