うそのない住まいづくり、先を考えた住まいづくり

三和総合設計

2007年01月04日 07:50

お正月の三が日が終わり、今日から仕事の方もおられると思います。

私どもの仕事は明日からですが、そろそろ仕事モードに体を変えて行かなければなりません。

今年の念頭として、もう一度住まいづくりに関して整理してみたいと思います。

私が目指す住まいづくりってどんなものでしょう。
タイトルに書かせていただいたとおり、「うそのない住まいづくり、先を考えた住まいづくり」といったところでしょうか。

こんな住まいが理想だというのももちろんありますが、住まいは住まい手の方々の希望に合わせて造るものです。設計者の思いが強く入りすぎるのは問題です。
それよりももっとベースになるものをしっかりと考えなければなりません。

私が最もいやなもののひとつが「だまし」です。
年が明けてTV番組のコマーシャルにローコスト住宅で台頭が著しいTホームがやたら登場します。
私はあまりハウスメーカーによるローコスト住宅は良いものとは思いませんが、その存在そのものを全く否定するものでもありません。
しかし、腹が立つのはなぜでしょうか。

うそが多いからです。
「坪○○万から」などといった呼び込みが、通常の業界の計算方法と全く違ったりします。また、工事に含まれないものもたくさんあるのですが、広告には老眼で見えないぐらいの字で書いてあります。
坪単価の出し方は特に法律で決められているわけではないので、違法だというわけではありませんし、小さな字でも書いてあればうそはついていないことになるのかもしれませんが、誠実ではありませんね。

本当に良いものをローコストで提供するのなら、どうどうと本当の姿をアピールすべきなのです。

こんなことはハウスメーカーだけではありません。

私の好きでないもののひとつに、「100年住宅」があります。
100年もつ住宅は、先ほどのローコスト住宅の反対に位置するものですが、安易に100年と言い過ぎのものもあります。
100年持つ住まいは、昔の民家では実証されていますが、最近のように冷暖房をする住まいや金物を使う住まいではなかなか実現できるものではありません。

私は、住まいづくりの目標を50〜60年においています。
100年を目指すと建物が全く違ったものになりますし、費用もかかります。
住まい方も制限されます。
金銭や生活条件が合う場合はそれでも良いのでしょうけれども、近年の社会生活にあわせた住まいとなると住まいも昔ながらの民家のようなものというわけには行きません。
できるだけ昔の知恵や技術を使いながら、住まい手の方に最も有効な住まいを提供するお手伝いをするのが私たちの仕事だと思っています。

今でも100年以上持つ住まいを造っておられる方がおられますが、多くはローコストなどに対抗する宣伝手段に使っている「100年住宅」があまりに多いように思います。

もうひとつ嫌いなもの。
工務店やハウスメーカーが設計をサービスのように扱うこと。また、設計者が工務店を飛ばして施主と専門業者を直接契約させるシステムが理想であると表現していることなどです。

設計者がちゃんと設計し、管理能力や責任能力がちゃんとある工務店が施工することが一番良いのに決まっています。
あまり良くない設計者や工務店がいるから、そんなシステムなどが良いものに見えてしまうのです。
お金を安くするために、必要なものを飛ばしているだけなのですが、それを良いものだと信じさせようとする「うそ」がいやなのです。


少し長くなってしまいますが、「先を考えた住まいづくり」についても少し書きます。

先に書いたように最近の住まいの宣伝は、法律に違反するほどではありませんが「うそ」がいっぱいです。

世間では2×4住宅が地震に強いと思われているようですね。
これをうそだというとメーカーから袋叩きにあいそうですが、私は最も地震には要注意の建物だと思っています。

建物を破壊するぐらいのエネルギーを持った地震は短くても数百年に一回ぐらいの周期だといわれています。
もう少し小さい震度5ぐらいの地震で50年ぐらいに一度でしょうか。
そんな周期でくる地震に対して、造ったときの強さなんてあまり大きな意味を持つものではありません。造ってから長い時間たったときに性能が落ちないかが重要なのですが、日本の湿気の多い気候風土において、ベニヤ板と腐りやすいSPF材で造られた2×4住宅が地震に強いといえるのは何年ぐらいまでなのでしょう。

日本の最近の住まいは寿命が25年程度ですから、地震が来る前に壊されるのでかまわないのでしょうか。

あまりに宣伝や評価が単純すぎます。
これからの住まいは耐久性が最も大事だと思いますが、耐久性と耐震性が掛け合わされたものが良い住宅といえると思います。

先を考えた住宅とは、住まい手の長い使用のなかで起こりえる中身を考えなければなりませんし、材料の調達や廃棄のことも考えなければなりません。

こんなことを書き始めたらいつまで書いても終わらないような気がしてきました。
何時間も書き続けるわけにはいきませんのでこのあたりにしたいと思いますが、ようはどんなことでも長い将来まで考えた上での判断をすることが重要だということです。

単一の機能だけを取り上げて誇張するのは「うそ」の部類だといいたいのです。

今年もぼやきながら住まいづくりの「本当」を追求し、皆さんの住まいづくりのお手伝いをしていきたいと思っています。

長くてごめんなさい<m(__)m>