建築基準法が6月20日に改正されてから、約2ヶ月が経とうとしています。
私たちも申請を確認申請機関に提出したりする中で、現状と問題が見えてきました。
今回の基準法等の改正は皆さんもご存知の通り、あの「姉歯事件」の耐震偽装問題が発端となっています。
そういったこともあり、今回の改正の内容は建築士をまったく信用しないという内容であり、建築確認申請審査機関や都道府県の確認申請担当窓口をまったく無能であるという判断をすることをベースとした改正だということがはっきりしてきました。
また、その改正の内容は構造計算のピアチェックというダブルチェックシステムが主ですが、そのほか、申請の途中で訂正などをさせないことにより、偽装を防ごうとするもののようです。
ここでもう一度冷静になって考えてみたいと思います。
今回起こった耐震偽装の背景はどういうものだったのかということです。
すべての建築士が耐震偽装などに手を貸していたのかということです。
ごく一部の建築士が、建物を分譲したりするときに、安物を造り、それをいかにもちゃんとしたものと偽装することにより起こったものです。
ですから、耐震偽装が起こった部分は、安く販売しようとする分譲マンションの建物、宿泊代を安く押さえて利益を得ようとするホテル、木造にあっては建売住宅において起こったもので、一般の建設に関してはまったく関係のない部分で起こっているのです。
それにもかかわらず、すべての建築士が悪人であるような改正がなされているのはまったく問題です。
もちろん世の中には悪人はいるのですが、そういう悪人がはびこりやすい部分に対し対策を立てるべきで、自己用の建物まで広げてピアチェックなどを行なう必要はまったく無かったと思います。
もちろん偽装を見抜けなかった審査機関等には大きな問題がありますが、審査機関自体は国が認めたものであり、その能力に疑問をもった改正などまったくおかしなものです。
審査機関のレベルアップは図るべきですが、無能だと決め付けたような改正では、問題の解決にはならず、建物を建てようとする方々に無用な負担を強いるだけなのです。
申請の現状はどうかというと、今まで一週間以内で終わっていた審査が、三週間を超えてもまだ結論が出ません。
木造の2階建ての住宅ですから、法律が改正された部分はまったくないのです。それにもかかわらず、申請書には誰が見ても簡単にわかるような内容を次々と書き込むように指示され、それをいちいちチェックするのに膨大な時間がかかっているようです。
申請書に書き込む内容が多くなったのは、申請書の保存期間が15年と長くし、申請書に書き込む内容を多くすることにより、後で問題の追跡が出来るようにすることが目的のようです。
いかにもお役所的な考え方ですね。
書類の追跡ができて、どんな問題があったのか、だれがうそをついたのかがわかったところで、その悪いやつらはとっくに逃げていなくなってしまっています。
国の責任が追及されないための手続きだけなのです。
書き込む内容を多くしても、本当に悪いやつらはうそ八百を並べ、すいすいと通り抜けていきます。
まじめな施主さんが影響を受けてしまいます。
申請書類の訂正が認められないということになっています。
申請の提出を受け、問題を指摘し、訂正を求めるような仕組みが普通で、まったく問題のない書類だけを受け付け、少しでもミスのあった書類は間違ってますから持ち帰り、再度申請代を負担して出しなおしてくださいなんて仕組みは異常というしかありません。
国土交通省のお役人の頭は腐っているのではないでしょうか。
申請期間が半月以上も余分にかかり、なおかつ建物の少しの変更も認められないということは、工事期間に大きな影響を与えます。
お役人にとって一ヶ月ぐらいなんてことない話なのでしょうけれども、住まい手の方にとっては入居時期を簡単にずらせなかったりします。
子どもの入学、会社の転勤、正月までになどいろいろな事情があります。
そういった事情のため建物の完成時期を延ばすわけには行きません。
無駄な申請に半月以上余分に時間をかけて、大切な職人さんの施工期間を半月以上縮めなさいということなのでしょうか。
もともと、確認申請なんて、悪いやつらさえいなければ必要の無いものです。
法律なんて悪者がいなければ必要ないものです。
今回の改正も金に目がくらんだやつらがいなければ必要の無かったものです。
それを善良な国民にさまざまな手続きを押し付けて何が得られるのでしょう。
ひょっとしたら、施工期間の短いプレハブ住宅が一番いいですよとでも言いたいのでしょうか。
全国の建築士の皆さん。声を大きくして言いましょう。
粗悪な建築士はごく一部のやつらだけです。そいつらはもうこの世界は金儲けが出来ないからといってとっくに職を変えているはずです。
審査機関の人たち。自分たちの仕事に誇りを持ちましょう。
お前たちが無能だからピアチェックするなどと言われないちゃんとしたシステムをもってください。
今の現状に対し、私たちといっしょになってぶつぶつ文句を言うだけでなく、都道府県や国に対し、ちゃんとした意見を言ってください。
都道府県の住宅行政担当者の皆さん。
あんたらは、単なる伝達機関などではないはずです。
地方の現状をちゃんと把握し、国に対しはっきりと物を申してください。
あなたたちの給与は、私たちの税金でまかなわれているのですよ。
建築士会や建築士事務所協会。
あんたらは何のために存在するのですか。
こんなばかげた改正に物申せないなら、多くの会員を集めている値打ちはありません。
会費を返してください。
書類作りに時間や費用をかけさせられ、大切な部分に時間や費用をかけられなくなる建築基準法改悪。
いい加減にしてほしいと思います。
今回の改正については、建物が金儲けの手段となっている分譲マンション、建売住宅、ホテル、不動産屋が造る建物などだけに適用すれば充分じゃないですか。