昨夜のテレビ番組で、日本の食糧自給の問題や米の問題を放映していました。
日本の食料自給率は39%ぐらい。世界の先進国はどこの国でも100%前後だそうで、日本だけが異常な数字です。
しかも、これは米の輸入を制限しているからであって、米の輸入を自由化すると10%台までになる予測だそうです。
最近、中国から入ってくる食料の安全性が問題とされていますが、食料の自給率が低いという問題は輸入される食品に健康上の問題がなくても、大きな問題になりますね。
ある給食業者が競争激化により日本の米を使うのをやめ、中国産の米を使わざるを得ないという話がありました。
こういった給食業者から弁当を仕入れる人は誰でしょう。
実際、物をつくったりする人たちではなく、オフィスビルなどで働く人たちが多いのでしょうね。
安い弁当を買えるのは良いのかもしれませんが、日本で作ることが出来る主食の米まで外国から買わなければならないような社会はどう考えてもおかしい。
日本は高度な技術を売り物にして外国に工業製品を販売し、その反対に食料などを購入する。計算上は成り立つ話かもしれませんが、日本の一部の企業の関連で働く人たちに合わせた社会の仕組みになってしまいます。
弁当なんて家で作る時間はない。だから給食業者から持ち込んでもらう。
少しでも安いほうが良いから値段をたたく。安い米を買うために外国から仕入れる。
日本の農業が成り立たなくなる。
こんなことが続くと、世界において日本の自立というのはありえないのではないでしょうか。
現在でも、バイオエネルギー利用のために食料の値段が上がったり、オーストラリアの干ばつの影響で讃岐うどんの値段が上がったり、先行きが見えない状況ですね。
現在の林業が農業よりも先にそのような状況に陥っています。
日本に良質の木材が多くあるにもかかわらず、住宅産業のメーカーなどが木材の自由化のために安さだけを求めて日本の気候風土の下ではあまり良くない木材をどんどん使う。
そのために林業が成り立たなくなり、山には木はあるけれど木材として使えるように手入れがされていないものが増えています。
山は環境のために残せば良く、必要な木材は外国から買えばいいという考え方がやはり計算上は成り立っていても、国内の仕組みはずたずたで、都市と農村との間の格差は広がるばかりです。
格差が広がってもなんとか成り立つならまだしも、国が成り立つための食料やエネルギー資源などの自立無しでは国自体がいつか崩壊してしまいます。
虚業を中心に金儲けをしている一部の人たちはそうなったときにはどこか住みやすい国に逃亡するでしょう。
後にはその関連で働かされていた人や、生産に何とかしがみついていた人々が残され、とんでもなく貧乏な国になることでしょう。
放送では、食料の自給は国にとって大切であるという学者さんやごくわずかな外貨を稼いでいる輸出産業に期待をするのはとっても危険であるという評論家の人たちのコメントが流されていましたが、ある学者は、安く買えるものは外国から買うほうが国内の産業を育成するよりもコストが安くできる。他の国たちと仲良くすることが大事だと話したりもしていました。
コスト計算だけで国が成り立つのなら簡単ですが、本当に豊かな国を考えるときにそんな論はありえないでしょう。
研究室の中で計算だけをしている学者だなあと思いました。
多くの国民はお金儲けを望んではいません。
お金が必要な世の中になってしまっているからお金が必要と感じているだけです。
本当はお金よりも安心した生活がほしいのです。
安い米を手に入れることが出来ても、多くの農業従事者が食えなくなることは一大事です。
農業に林業の二の舞はさせたくありません。
林業も国のために復活させる必要があります。