私たちは建築物を建てるに当たって、独立した設計事務所として仕事をしています。
住宅を建てるに当たって、設計と言う作業の重要性を皆さんに感じていただいているかどうか。これをいつも考えています。
明日、4日に「設計士とおはなししましょ 秋の会」を開催します。よろしかったらご参加ください。
(案内はこちら)最近では設計という仕事の重要性を感じていただく方が増えてきました。
住宅を建てる際に、設計も大事ですし、施工も大事。今まで安易に考えられがちだった設計に力を入れようとする人が増えてきたのは良いことだと思っています。
これは生活スタイルの多様化、構法などの多様化などによるものだと思います。
それでは、設計事務所による設計と工務店の設計施工とどこが違うのでしょうか。
理論的には一つの仕事に対し、設計士と工事を行なう人たちが住まい手の希望に対して協力しながら進めていくのに変わりはありません。
しかし、設計施工ということになると、昨日から話題になっている「大連立」のようなものです。
同じ立場の方々だけが仕事を進めると、チェック機能が働かなくなります。
チェックすべき問題点がなければ良い、誠実な工務店なら問題は無いという考え方もありますが、違った立場の人間が違った見方でチェックしあう。
専業として頑張っている人たちが、専門性を活かしながら協力し合い、仕事を進めるに当たってはそれなりの緊張感を持って仕事をする。
これが、設計と施工を分離して仕事をすることの一番良いことだと思っています。
世の中では、設計事務所は変わった建物を設計したいときに利用するものだと思っておられる方も多いと思います。
設計事務所なかには、無茶な図面を書いて工務店を困らせたり、とっても施工が出来ないような図面をかいたりする事務所もあります。
最近の木造住宅の世界ではむしろそんな無茶な事務所の方が多いのかもしれません。
ハウスメーカーなどは、限られた構法でありながら、設計者と施工者などが協力して仕事を進めます。
最大の問題は、自由な選択肢がないということです。
木造在来工法住宅の世界では設計の自由度を持ちながら設計者と施工者の協力を進めることが可能です。
工務店が自社で設計を進めるときに自分たちの都合が優先されたり、現場を進めるにおいても工事のチェックが充分に行なわれなかったりすることを防ぐ仕組みが設計と施工の分離なのです。
設計者に希望を出して図面を書いてもらい、少々無理な予算でも、相見積をとって押し込んでしまうようなやり方は設計事務所の正しい使い方とはいえません。
まして、設計者が工務店を排除し、お施主さんと専門業種に直接契約していただくやり方などもってのほかです。
互いの能力を磨き、一つの目的に向かって努力し、一定の緊張感を持って仕事を進める。
これが本当に良い住まいをつくる方法だと思うのですが、いかがでしょうか。