滋賀県内の住宅着工件数半減

三和総合設計

2007年11月21日 07:17

新聞報道によると、滋賀県内の7月から9月の住宅着工件数は昨年の同時期に比べて半減したそうです。

何回もブログに書いていますが、6月20日に施工された基準法の影響です。

着工件数が減ると、地域経済にも大きな影響が出るため、国交省も規制の緩和などの再改正を行なおうとしていますが、現場の混乱は11月になっても続いています。

改正基準法が施工された後に着工件数が減ったことを見て、一般の方々は今までいい加減な建物が多く、新たな審査によって建物が建てられなくなり、粗悪な建物が減っているのではないかと思っておられるのではないかと思ったりします。

実はまったくそんなことはないのです。

着工件数が減っているのは、審査機関の処理能力の問題といい加減な法律のためなのです。

まず、法律のほうから。
6月20日の法改正の施工日において、詳細の取り扱いはうわさが飛び交うだけでまったく決まっていませんでした。
そういった影響を避けるために、6月20日の施工前に駆け込みで申請された物件が他の月より倍ぐらいありました。

その反動で、施工日以後の申請件数や着工件数は減少になっています。

法律の審査を行なう審査機関の処理能力が不足している上、国から出される法律の詳細の扱いがあいまいであったり、やたら厳しかったりするものですから、一件の審査にすごく時間がかかるようになっているのが実体で、いい加減な建物がはじき出されているという訳ではまったくありません。

今現在の状況は、申請を提出すると待ち時間が1ヶ月程度。
実際の審査は1日で済んでしまいます。

おかしいでしょう。

申請がおりるまで一ヶ月以上かかるのですが、その時間のほとんどが待ち時間で、審査に使われる時間はほんの一瞬です。

大病院で診療まですごく待たされ、診療はほんの簡単な内容であるといった感じと同じです。
待ち時間の長さから言えば、もっとひどい状態ですね。

それでは基準法の改正により、なにか良いことがあったのでしょうか。

住まい手にとっては申請費用が上がったこと。
着工までに時間がかかりすぎるため、実際の大事な工事期間がけづられることになることなど良いことはほとんどありません。

その上、建築基準法は建物の最低基準を定めているだけなので、それをクリアーしたからといって、建物のレベルが上がっていると言うわけではありません。

プロの目から見て、良くないなという建物を建てている業者さんは依然元気です。
むしろ、まじめな業者さんほど痛めつけられ、法律の穴をうまく潜り抜けることに長けている業者さんばかりが生き残っていくことが予想されます。

法律で建物の質をとことん担保しようとすることがもともと無理なことです。

良い業者に頼んで建物をつくる。これに尽きます。

私たち設計事務所の仕事の大きな部分がそこにあると思います。
一般の方々で見抜けない業者の良し悪し、私たちにはいろいろなところから聞こえてきます。

いつも、一般の方々の評価と実際のギャップに驚いています。