「景観の利益」の認定
今日の新聞記事によると、
以前にも書きましたが国立市の大学通り沿いに建設されたマンションの景観破壊に対する高層階撤去と損害賠償を求めた訴訟に対して最高裁の判決が言い渡されました。
良好な景観の恩恵を受けている近隣住民には保護すべき「景観利益」があるという初の判断を示したようですが、条例違反や権利の乱用などがなければ違法な利益侵害とはいえないという保護の判断も同時にしたようです。
結局のところ、法律や条令で違反とならない限り問題とならないという判断で、問題となっているマンションに対し、高さを除けば周囲の調和も乱していないという判断を示したようです。
景観の利益を判断するのは非常に難しいものがあると思いますが、その判断を法律や条令に任すというのも非常に問題もあります。
本当のところは周辺住民の意思の元に良好な街を作るしかないのですが、土地や建物が利益追求の手段となっている以上、何らかの規制をかけない限り「景観利益」を守ることは不可能ということになります。
地方公共団体に求めるしかないのですが、住民の強い意志がなくして期待するのはほとんど難しいと思います。
大津のように古都指定を受けながらも、大津京の中心ともいえる西大津駅前の現状などを考えると、単なる法律や制度では良好な景観が守れるというものではないことは明白です。
ヨーロッパのように住民そのものが景観に対して強い価値を感じています。そういう感覚が日本の国民にも持たれなければ、景観は重要なものであるが実際はほとんど守れないものということになってしまいます。