一里塚
昨日は、新しく設計を行なう敷地の地盤調査のために、甲賀市水口町に出かけました。
水口は、東海道53次の宿場町として栄えた町です。
敷地のすぐ近くを旧東海道が通っていますが、その名残の「一里塚」が近くの神社にすえられています。この一里塚は当時の場所より少し移されたものらしいですが、一里塚は昔の旅人の旅の重要な道しるべとなっていたものです。一里は約4kmですが、人間が歩くと1時間ぐらいかかります。昔の単位はすべて人の行動にあわせて作られていたものなのですね。メートルという単位は地球の周囲をもとに決められたもののようですが、国際化を進めるのに統一単位としては必要なものですが、あわせて、昔のヒューマンスケールも残って欲しいものだと思います。
建築の世界でも尺や寸はまだ使われています。設計だけをしていた若いころには、尺、寸はあまりわかりませんでしたが、現場の監理などに力をいれ、ものづくりに深く関わると、尺、寸などの寸法の意味がよくわかるようになり、今では尺、寸でものを考えるようにもなりました。
話は戻りますが、滋賀県は東は土山から西は大津まで長い距離の旧東海道が通っていました。旧東海道沿いは家が建て込んでいますので、新しい国道は別の場所に通り、またその国道のバイパスも建設され、幹線道路は旧東海道と離れた場所にあることが多いのですが、旧東海道を通ってみると、街並みだけではなく、松並木や微妙にカーブした道路など、昔の交通往来を思い起こさせるようなたたずまいがあちこちで見られます。
また、そういった街並みのなかにはプレハブ住宅や派手な住宅が建てられていることはほとんどありません。住んでおられる方々の美意識なのでしょうね。
今回、設計監理させていただく建物も、周辺の景観を壊さず、かつ住まい手の方の現代生活に充分対応できる住まいになるようがんばっていきたいと思っています。