なつかしのヒット曲シリーズではありませんが、昨日までの3日間、東京、大分と東へ西へ走り回っていました。
16日は東京で、伝統構法設計法の関係の実大実験TT(タスクチーム)の会合でした。
いつもは夕方から始まり、新幹線の最終電車で帰ってくるのですが、16日の会合は始まりが14時と少し早かったため、関東方面の木の家ネットのメンバーと会議終了後お話会を行ないました。
実大実験TTの会合では、昨年行なった実験の更なる細かい要素実験の打合せで、話は着々と進められています。
その会合が終わった後での木の家ネットメンバーが集まっての会合では、国と学者さんと実務者が集まって進められている設計法を構築するためのプロジェクトの進め方について色々議論をしました。
どうしても学者さん主導で話が進みますので、理論的に説明がつくところから・・・という話になるのですが、実務者のほうは、今問題になっているものから解決して欲しいということになります。
このあたりのギャップを埋めないと、国費をかけて3年の時間を費やして設計法を作っても、設計法自体は間違っていないが、実務には役に立たないということになってしまいそうです。
木の家ネットのメンバーが集まった会議では、今後、そのあたりの修正を色々な場面で求めていこうということになりました。
16日は最終電車に近い時間で一旦自宅に戻り、17日は朝早くから大分に向けて出発しました。
目的地は大分です。
大分では最初に大野郡森林組合に行きました。
大分に視察に来た理由は、木材の乾燥のためです。
大分では大分方式といって、材の表面をわずかな時間だけ高温熱処理を行い、その後、材を自然乾燥するという方法がとられています。
この方式の利点は、高温乾燥のように内部割れが発生しないこと、自然乾燥のように表面割れが発生しないことです。
夢のような方法とまでは言いませんが、多くの住まい手の方により品質の高い材料を提供するためのひとつの手段であることは間違いありません。
大野郡森林組合では、担当の方のほかに、組合長も出迎えていただきました。
乾燥方法だけでなく、コストの問題や、売り先の問題など、様々なお話を聞かせていただきました。
次の日は、福岡県うきは市、豊前市と廻ってきました。
両市とも、福岡県と言っても博多からは遠く、大分県の県境近くにあり、福岡県は全体として木材の消費県ですが、どちらかといえば大分県の山どころと同じようなところです。
いたるところに製材所があり、最新の高周波木材乾燥機が導入されているところもありました。
今回の視察で感じたことは二つありました。
まず一つ目は、滋賀県と違い木材が大量にあり、うらやましい限りでした。
滋賀県では地元の木を使って家を建てるといっても、材を確保するのが大変です。
それに引き換え山どころでは、いくらでも木材はあるといった感じです。
車で走っていても、丸太の山がいっぱいです。
二つ目。
これは大変なことです。
木材の生産地では、販売不振が続き大変なようです。
そのため、材はより安く作ることだけが目標になっているようです。
安く作ることは別に悪いことではないかもしれませんが、木材の良いところを活かそうという感じがあまり見られませんでした。
外国から安く入ってくる材料に対し、いかに安く対抗するか。
こればかりに目が行くと、木の良さを出すことができません。
日本の木材は、外材よりも質が良いのですから、それを活かすことができる供給の仕方を考えることが必要ですね。
でも、この問題は、生産地の木材関係者に問題があるわけではないと思います。
住まいを造る側、つまり工務店、設計事務所などが、もっと理解を示さなければならないと思います。
ハウスメーカーや不動産系の会社は利益を追求するために、木材の良し悪しよりもお客さんのクレームに目が行き、当面の間クレームが出にくい外材集製材に目が行くのも当たり前だと思いますが、良いものを供給しようとする工務店などは、ハウスメーカーやビルダーたちの競争に巻き込まれること無く、良質な住まいを造るために、山側と良い関係を作らなければならないと思います。
二日間の視察で思ったことですが、私たちの活動はまだまだ小さい。
本当に日本の山を救うことはできないと感じました。
地元の木を使おうとするいろいろなグループが、個々に努力をするだけでなく、お互いに協力し、住まい手の皆さんに正しい情報を伝えていかなければならないと思いました。
木材の品質を高めるために、色々な工夫や努力をし、多額の投資をしても、それが安売り競争に勝ち抜くためにしか活かされていないのです。
住まい手の方々に良い住まいを造ろうと思っている人たちが、もっとその思いを住まい手の方々に正確に伝え、科学的に物事を分析していかないと、その技術はお金持ちの人たちのぜいたく品に終わってしまいます。
忙しい3日間でしたが、いろいろな方面から木の住まいづくりを見ることができ、今後の進むべき道がさらにはっきりしてきたように思います。
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