森林認証制度

三和総合設計

2010年01月11日 09:37

今朝の新聞記事(京都新聞)に森林認証制度について書かれていたのをご存知ですか。

森林認証制度とは、適切に管理され持続可能な森林に第3者機関がお墨付きを与えるものです。
現在では国内の全人工林の10%超が認証を受けているそうです。

森林認証材といえば、制度が始まったころは熱心な林業家が認証を受けているだけだったのですが、最近では木材のブランド化を計りたい森林組合や環境への配慮をアピールしたい企業などが認証を受けるようになりました。

これは好ましいことなのでしょうか。

好ましいか好ましくないかと言えば、好ましいといわざるを得ませんが、問題はいろいろあります。
森林組合が認証を受けることは問題ないのですが、木造住宅大手のS社なども自社の持っている社有林の認証を受けたようです。
新聞記事では北海道で作る住宅には道産のカラマツ材などを使っているようですが、その他の地域のことは書かれていません。
私の知りうるところでは、まだヨーロッパ産のホワイトウッド材が主流ではないでしょうか。

こういった新聞記事や企業の宣伝を聞くと、その企業がすばらしいものに聞こえますが、本当に頑張って地域の山を何とか保全していこうとしているのは、地域でこつこつ頑張っている人達です。
どんな制度でも同じですが、国の認証などを取ろうとするとすごい手間が掛かります。そのため、小さな企業などではそんなことは出来ません。

同じ材料でも、認証が取れているのと取れていないのと、取れているほうが良いように思えますが実態はそうでもありません。
認証の取れていない森林から出てくる材であっても、良材はたくさんあります。
認証が取れている森林から産出される材であっても、ダメなものはダメです。
要は材を見抜くプロの力が大事なのですが、最近のものの売り買いはどうしてもブランドのようなものに頼りがちです。

購入者が材を見る目がなくなっている。住宅の場合、建築主が材を見抜くことは難しい(昔の方は木材を良く知っていましたが)ですが、最近では材木屋さんや工務店の大工さんでも木の良し悪しを見抜くことが出来なくなっています。

大手の企業でも、社有林の認証を取るのは良いのですが、実際は積極的に使うことはありません。
認証をとるというのは方向としては良い方向ですが、その目的は自社イメージのアップのためであり、本当に環境のことを考えているとはいえないと思います。

一番問題なのは、そういった企業の宣伝に載せられて、実際、森林のことを考え、こつこつ頑張ってきた人達の仕事が食われてしまうことです。

最近ではよく、環境ビジネスといわれます。
環境に良くないことより、環境に良いことをビジネス化することは悪いことではないのですが、本当に環境に良いことは商売には乗りにくいのです。
それでも何とか工夫して本当に環境に優しいことを実践しようとしている人達を、環境ビジネスを標榜する大企業が食いつぶしていくのが大きな問題です。

法律や制度は、悪いものを排除する効果は確かにあるのですが、本物も同時につぶしてしまうということがあるのをわかって欲しいです。

地域の木を、環境のこと、住まい手のことを考え使っていく方法は、地域の実務者が建築主と相談しながら造るしか、ちゃんとしたものは絶対造れません。

全体の方向が良い方向に向かうことは大事なことですが、本当にあるべき姿だけは間違わないようにしたいものです。


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