住み継ぐ家づくり

三和総合設計

2010年02月06日 08:52

住宅の質が問われる時代になりました。

住宅のいろいろな性能が求められる中で、一番必要な性能は耐久性でしょう。
いくら地震に強い家であっても、いくら断熱性能の高い家であっても、すぐに耐久性を失ってしまうようでは問題ですね。

というわけで、国は長期優良住宅という制度を設けています。

そういうわけで、最近の住宅のチラシには長期優良住宅や長持ちする住まいをうたったものが多くなりました。

その中で思わず笑ってしまったのが今日の新聞広告。
草津にある住宅展示場のチラシです。
B3版の二つ折りぐらいのもので、4ページの構成。
一番目に付く表紙には「ほんとうに優れたものには、時代を越えて残る力がある」と書かれ、写真は古い町家の写真やなどが使われています。

開いてみると一部には表面の続きのように、和室から庭を望んだ写真。
こんな家に住めたらいいなと思うような写真。

で、右のページには大手のハウスメーカーのモデルハウスの写真。
どこに良さがあるのかさっぱりわかりません。

結局、長期優良住宅ですよと訴えているのでしょうけれど、基準を満たすものが長持ちするとは限りません。
先に行われた長期優良住宅の実大実験でも、基準を満たす建物が転倒、大破しました。

長持ちする家はこんな家ですというのではなく、住む人に愛された住まいが長持ちするのです。
表面の写真のように、住む人が愛着を持ち手入れしてきたもの、さらに耐久性を持たせるために素材や構法を考えたものが長持ちするのです。

プレハブ住宅などに住んでいる方々は、おおよそ30年も建てば建物に愛着を失う人が少なくありません。
なぜなら、工業製品は出来上がったときが最高の性能や美しさであり、だんだん良さを失っていくからです。
私の感覚では、長い時間を経過したプレハブ住宅をさらに修繕して住みたいという人は非常に少ないと思います。

構法も改造がしにくく、素材も集成材や合板でできており、長持ちするとは考えられません。

長期優良住宅は、どちらかといえばハウスメーカーなどの経済対策です。
本当に長持ちしている住まいに税金の免除などを与えるのなら良くわかりますが、こんな建物が長期優良住宅ですよと決め付けるのは本筋をはずしています。

耐久性の乏しいハウスメーカーの建物が少しでも努力をしているのはわかりますが、昔の建物を宣伝にしながら、「長期優良住宅」と表現するのは非常に違和感があります。

国の制度は何事も法律や基準を基に出来ています。
今日のチラシに使われているような伝統的な木造住宅は基準には合わず、「長期優良住宅」の税的なメリットを受けることは出来ません。
現在の「長期優良住宅」の基準は現代構法の住宅のためだけに作られたものであり、本当に長持ちしている伝統構法の建物には当てはまらないようになっているのです。
こんな偏った基準はすぐに廃止すべきです。

私たちが建てている建物こそ「長期優良住宅」だというのなら、昔の町家の写真など使わないで欲しいですね。

キャンペーン名に「住み継ぐ家づくり」とありますが、これほどいやな思いを感じたチラシはありません。
いつものように4面は来場記念のプレゼントのページ。

本当に良い住まいなら、4ページも使うなら、もう少しなぜ「住み継ぐ家づくり」なのかを訴えたほうが良いと思うのですが。。。


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