チリで大地震があり、日本に津波が押し寄せています。
今朝の新聞記事によると、津波の高さは岩手県大槌町で1.45mに達したようです。
単純に高さで計れるものではないとは思いますが、大きな被害は伝えられていません。
津波といえば、二つ思い出すことがあります。
一つは、子どものころ、岩波新書で「海の壁」という本を読んだこと。
もう昔のことなので、詳しいことは覚えていませんが、南米で起こった地震で三陸地方に起こった大津波の恐ろしさを書いたものだったと思います。
チリで地震があったと聞き、一番にそのことを思い出しました。
そのときほどの大きな津波にはならなかったようですが、自然の力は本当に恐ろしいものですね。
もう一つは、新婚旅行で信州を車でうろうろしていたとき、秋田県沖で地震があり、津波で子ども達が波にさらわれたことです。
その地震はあまり大きな地震ではなかったと思いますが、それでも津波で被害者が出ました。
津波の大きさはいろいろな要素で決まるのだと思いますが、まだ、私達国民には理解できていない部分ですね。
この文書を書いていてもう一点津波被害を思いだしました。
北海道の奥尻島だったと思いますが、津波で大きな被害が出たことがあったと思います。
今朝の新聞記事になぜチリの地震で日本に大きな津波が来るのかが書いていました。
日本がチリの真裏にあるからのようです。
地球は丸いため、広がった津波はちょうど日本に向かって波が集まっていくようです。
今回のチリの地震のマグニチュードは8.8。
マグニチュードは1大きくなると約30倍のエネルギーになるそうです。
阪神大震災に比べると700倍のエネルギーだそうです。
連日、テレビや新聞で被害の映像や写真が流されています。
阪神大震災の700倍のエネルギーですから、被害は大変なものだと思います。
でも、ここで少し専門的なお話をさせていただきたいと思います。
いつも、大きな地震が起こったとき、被害を受けた箇所ばかりの写真などが報道されます。
でも、実は、同じ場所で被害を受けていない建物もあるのです。
建築の専門家としては、被害を受けた建物の原因も考えなければなりませんが、被害を受けなかった建物についても地震被害を小さくするための知恵としなければならないのです。
今朝の新聞記事の写真でも、倒壊した建物が掲載されていますが、その先には倒壊していない建物も写っているのです。
地震に強い住宅は何なのかという話がよく出ます。
木造住宅は弱いとか、重い屋根の建物は弱いとかいう話がよく出ます。
でもこれは間違った情報です。
同じ地区で同じような構法の建物が被害を受けたり、受けなかったりしているのが事実です。
どんな構法であっても、ちゃんと造っているものであれば、ある程度の耐震性はあるのですが、同じ建物でも建設されて長い時間が経過すると各部に痛みが出たりします。
そういうものが大きな要因になることを考えなければなりません。
阪神大震災後、木造住宅が弱くて、プレハブや2×4住宅が強いというようなことが言われました。
これは、住宅産業の営業の中で造られた話だと考えなければなりません。
古くて瓦を乗せた木造住宅が多く倒壊したのは事実ですが、手入れがされていないものや、耐震基準がゆるかった時代のものがまだまだ残っていたなど、構法で建物の強さが決まっている訳ではないといえます。
たまたま、阪神大震災のころ、古いプレハブ住宅や2×4住宅は存在していなかったと思います。
プレハブ住宅や2×4住宅は、早めに壊されることが多いので、被害が少なくなることもあります。
もう一点考えなければならないことがあります。
マグニチュードが阪神大震災の700倍。
もちろん震源からの深さや距離が被害に影響しますが、700倍のエネルギーで揺すられて、倒壊せずに建っている建物があるのでしょうか。
それでも壊れない建物があるということは、地震が単なる力だけで考えられるものではないということです。
地震は単純に一方方向に押す力ではありません。
物理の授業で習ったと思いますが、力は加速度の大きさに比例します。
ですから大きな加速度を持った地震では大きな被害が出ますね。
例のガルというやつです。
でも、ここで考えなければならないのは、地震は振動であるということです。
先ほども書いたように、地震は一方方向に建物を押すのではなく、振り子のように振動するのです。
どれぐらいの固有振動数を持っているかが、建物の被害と関係があるのです。
建物の固有周期と地震の固有周期が近いとき、共振ということが起こります。
ブランコに乗っている子どもをその振動に合わせてうまく押してやると、さらに揺れ幅が大きくなるような感じです。
ですから、同じエネルギーの地震であっても、固有周期や地盤の状態で被害が大きくなったり、そうでもなかったりするのです。
日本の住宅産業は何でも自分の営業手段に使おうとします。
地震がある度に不安をあおり、私達の大切なものを奪おうとします。
地震のことを充分念頭において住まいを建てることは重要ですが、その前に住まいに必要な中身が失われては問題があります。
長く住まうことが出来ること、心地よく住まうことができること、住まいは日本の風景をつくる重要なアイテムであること。
こんなことが前提になる必要がありますが、そのあたりは少し軽視されているのではないでしょうか。
津波の話からだいぶ脱線しましたが、正確な知識、正確な情報というものが私達に必要なのですが、なかなか企業のマスコミを通した大きな声に対抗する手段がないのが現実です。。。
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