テレビニュースによると、先日のチリの大地震で、地球の地軸がずれたり、自転の速度が変わった可能性があるそうです。
このずれなどは、わずかなもので、人の生活には殆ど影響がないそうです。
それにしても地震のエネルギーってすごいものですね。
住まいを地震からいかに守るかというのが、私達建築士の大きな使命ですが、どこまでも大きな地震が襲ってくると、どうしようもないのが現実ですね。
皆さんもご理解いただきたいのですが、建築基準法の基準は、建築物の守るべき最低基準です。
ですから、建築基準法上で建築物が想定している地震は、チリの大地震のような大きなものでもありませんし、阪神大震災も基準より大きな地震です。
建築基準法の構造規定を守ったから、それですべて安全ということではないのです。
木造住宅の耐震性は、建築基準法の中で簡単な方法で確認することになっていますが、クリアーすべき基準は大きな地震ではなく、方法も正確な構造計算ではなく、簡易な方法で行っていることを考えなければなりません。
私の事務所は、簡易な計算ではなく、構造計算をすることにより安全性を確かめています。
さらに、建築基準法で定められていない建物の余力も充分考慮に入れて設計することにしています。
一般的には構造計算をすることはありませんので、そういった場合、建物を依頼する工務店などが、充分な余力を持って建物を建てることを考えているかどうかを判断基準にする必要があります。
また、耐力要素を増やすことだけが地震対策であると考えられていることも問題です。
一応、耐震要素を増やせばそれだけ建物の耐力が強くなるのは違いないのですが、地震の種類(固有周期)と建物の特徴(建物の固有周期)によっては、耐力を増やすことイコール耐震対策にならないケースもあるということも考えなければなりません。
単純に耐力を増やすという考え方で、外壁に構造用合板を貼る事が増えてきました。
計算上の耐力は確かに上がりますが、合板を貼る事によって外壁の通気性はなくなってしまいます。
そうすると、湿気の多い日本では、構造体の腐朽が起こったりする可能性もあります。
出来上がってすぐの耐力は確かに上がりますが、30年ぐらい経った時の耐力が同じだけ確保されているかどうかも考えて耐力壁を考えなければなりません。
構造用合板に比べて、通気性がある耐力面材が使われることが多くなりましたが、構造用合板に比べて通気性が高いということですが、本来、建物の必要とする通気性を備えているかどうかは充分検討しなければなりません。
例えば、構造用合板の通気性が1として、通気性がある面材の通気性能が10倍の性能を持つとします。
でも、建物の必要とする通気性能が20とすれば、どちらも通気性については問題があるということになります。
建材メーカーに問い合わせても、カタログなどには、○倍の通気性能を持つというような表現をしていますが、「壁の腐朽に対して充分な性能があるのですね」と確かめると、それはわかりませんと答えます。
新しい建材というものはそんなところがあります。
販売するために、自分が持つ性能を出来るだけ大きな声で伝えようとします。
しかし、それがすばらしいものかどうかはイコールではないのです。
話はだいぶずれてしまいました。
地球は私たちが考えるはるかな大きな力をもっています。
それをねじ伏せようと考えるより、それとどううまく向き合っていくのかを考えなければならないと私は思います。
大きな地震に完璧に耐えられる方法はないと考えるほうが正しいのです。耐えるのではなく、対応することを考えるべきなのです。
そう考えないと、地震対策を考えるあまり、大事なものを失ってしまうことになります。
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