エア断震

三和総合設計

2010年04月21日 07:35

今朝のテレビ番組の話題から。

以前も見たことがあるのですが、地震の力を全く上部の躯体に伝えない「エア断震」という住宅があります。
地震が来ると建物自体を空気で持ち上げ、地面と縁を切ることによって地震力を建物に伝えないという仕組みです。
茨城県の施設で実験が行われた映像が映し出されていましたが、下部の大きな揺れに対し、上部は殆どゆれていませんでした。

このシステムにかかる費用は500万円程度と報道されていました。

さあ、これいいじゃないということになるのでしょうか。
新しい取り組みですからいろいろと検討すべきことはたくさんあると思うのですが、いつ来るか解らない地震に対して複雑な仕組みで対応することはどうなんでしょうか。
もし、その時停電したらどうなるのか。
地震の力で停電するとしても、地震のピークの時はまだ停電しないから大丈夫かもしれません。
でも、普段使わない仕組みは、本当にちゃんと作動するかどうか不安がありますね。

今朝の新聞にも、備え付けのAEDが作動しなかったニュースが載っていました。
定期的に点検するシステムが付加されるのかもしれませんが、そこまでする必要があるのでしょうか。

かなり重い建物を持ち上げるのですから、上部の建物の形やバランスにも制限が出てくると思います。
いつ襲ってくるか解らない、巨大地震の周期に対して、建物の寿命はあまりに短い。
複雑なシステムを導入しても、殆ど使わないで捨ててしまうことになります。

耐震や制震、免震などいろいろ仕組みはありますが、まず住まいが自分達の生活が快適であることを失ってはいけないと思います。
その建物の良さを失わない範囲で地震に対応する方法を考えないと、本末転倒ということになるでしょう。

木造の伝統構法の建物は、柱が石の上に乗っています。
巨大地震に対しては免震的な働きをし、部材が腐朽したりしても取り替えたりすることができる。
伝統的な建物が完璧であるとまではいえないかもしれませんが、長年の知恵をもう少し活かして地震に備えるほうが良いのではないかと思います。

新しい技術をすべて否定するつもりもありませんし、研究レベルではいろいろと進める必要があると思いますが、住まいの本当の意味を忘れないようにしたいものです。

最近の建物は、日本の景観を壊すものが多くなってきました。
個人が景観のことを考える必要があるのかという声も聞こえそうですが、絶対必要なことです。

新しい技術が開発されればされるほど、日本の風景が壊されるような気がしてしまいます。
住まいに対する考え方、ここをもう一度整理しなければなりませんね。


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