消え行くもの

三和総合設計

2010年09月13日 09:18

先週の週末は伝統構法の委員会やシンポジウムの関係で富山、石川に出かけてきました。

いつも仕事はスカイプやVPNを使っているのでコミュニケーションは取れているのですが、久々に顔を見がてら、富山事務所に出かけたり、その周辺をうろうろしたりしました。

少しの間行かなかっただけで、砺波ICの近くは多くの全国チェーン店が進出していました。
関西でよく見かける「ごはん屋」などもできていて、生活するには事欠かないようになってきたなという感じでした。

その反面、景色はどこにでもあるような景色。
砺波地方特有の散居村の風景は少し離れないと見られません。

それだけでなく、特色あるものが少しずつ消えていっています。
ひとつは、ホテルのニチマ倶楽部。
今年の3月末で閉館したようです。
このホテルは確か昔の繊維工場だったものを改修してできたものだったと思います。
雰囲気のあるロビー、吹き抜け、レストランなど、できれば閉館してほしくなかったものの一つです。

もう一つは、ウィスキーの樽を使って造る家具屋さん。
南砺市の福光にあった家具の製造、販売工場だったのですが、日曜日の朝に出かけてみると人影がない。
よーく見てみると入り口のドアに「破産宣告」のお知らせが貼っていました。

ニチマ倶楽部のホームページにも環境の変化により閉店させていただきますと書かれていましたが、今の社会は安くて早いようなものしか生き残っていけない感じです。
片や伝統構法を守ろうなどと言っていますが、こちらも庶民のものから遠ざかってしまい、金持ちの道楽になってしまうような感じもします。

日本の文化はお金で買うものではありません。
ごく普通の生活の中で共存するものでなければなりません。

伝統構法の委員会の関係で訪れたホテルは、田舎の風景に似合わない13階建ての巨大なホテル。
入り口の近くには、あまり良いとは言えないデザインの結婚式用のチャペルが周囲の風景の似合わない感じで存在していました。
でも、このホテルは日が良いのか何組かの結婚式が行われていました。

巨大な資本や大規模な経営で商売をするのか、速さ、安さを追求するのか。
そんなことではなく、落ち着いた生活の中で少しずつ良いものを取り入れていきたい。
でも、そんなことは社会が簡単に許してくれそうにもありません。

でも、少しずつでもそういったことができるように何とか工夫をしていきたいと思います。


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