みなさんお久しぶりです。
先日のイオンでのフェアーの時のことです。
男性の方が、私達が展示している軸組みの模型を見て、昔からの軸組みの建物とログハウスとどちらが地震に強いのですかと聞かれました。
なかなか難しい質問なのですが、住まい手の方の普通の考え方はこうなんだなと思いました。
地震に強いかどうかは簡単に比較することはできません。
ましてどちらの構法の建物が強いのかなんて答えがないのですが、そういったことを求められる。
解りやすさが欲しいのかなと思いました。
地震にどんな建物が強いのか。
阪神大震災の後は木造建築が弱いとか、2×4工法が強いとか、プレハブが強いとかいろいろなことが言われましたがほとんど根拠のない話です。
一般の人に木造の建物とコンクリートの建物とどちらが強いと思いますかと聞くと、ほとんどの人はコンクリートの建物のほうが強いと答えるのではないでしょうか。
でも、阪神大震災のときにコンクリートの建物も壊れましたし、その建物の近くの木造の建物でも壊れていないものもある。
結局、その建物なりにちゃんと作ればどんな建物でも強く作れるし、どんな構法の建物でもいい加減に作れば地震に弱くなるということです。
ですから、その方の質問に対してはどちらでもないですよという答えだったのですが、まだどちらか一つの答えが欲しかった感じでした。
なぜ、いろいろな構法があるのでしょうか。
地震に強いからこの構法を選ぶというのはあまり正しい選択のしかたではないと思います。
まず、自分がどんな生活をしたいのか。その建物の性能にどんなものを期待するのか。
性能だけでなく、どんな雰囲気の建物にしたいのか。
そこから始まるのです。
伝統的な木造建築が欲しい方にログハウスが地震に強いなどという話をしても意味がありませんし、ログハウスが欲しい人に伝統構法の耐震性の話をしても意味がありません。
その構法の特徴を充分考えた構造計画が必要だということです。
少し前に知り合いの設計士の方から、ある工務店で伝統構法で建てて困っている方から相談を受けているという話を聞きました。
その工務店は伝統構法を「売り物」にし、お客さんが望んでもいないのに不相応な仕事をしたりする。
その結果、とんでもない建物になっているようです。
私達の事務所に相談にこられる方の中にも、伝統構法の石場建ては大きな地震にすごく強いと聞きましたといわれる場合が少なくありません。
石場建てが地震に強いのかどうか。
それは地震の固有周期などによっても違いますし、簡単に説明できるものではありません。
でも、いい加減な工務店にそんなことを説明されている人も多いのです。
伝統構法が地震に強いから選択するのだというのではなく、伝統構法に何を求めるのかというところが重要だと思います。
その中で伝統構法に向いた耐震性のあり方を考える必要があるのです。
住まいを建てるというのは非常に大変なことです。
耐震性も大切ですが、そのほかの性能も重用です。
また、性能だけでは語れない居住性能や雰囲気、そのすべてを考えながら耐震性を考えなければならないのですが、マスコミの宣伝などで解りやすさを求める傾向にあります。
解りやすさが必要なことはわかるのですが、耐震性能だけで物は語れないのでどうしても難しい話になってしまう。
ちゃんと説明しようとすると少なくとも半日ぐらいはじっくりと説明しないとダメなのではないかと思います。
住まい手の方が住まいづくりに解りやすさを求められている。
それは最近建てられている建物が画一的であることを見ればわかるような気がします。
宣伝で大きな声で言われていることが正しい、皆がやっていることが正しいように思える。
そんな住まいづくりが進んでいるように思います。
もう少しじっくり考えて住まいづくりに取り組んでいただきたいと思います。
私達はそんな人たちのお役に立てるよう、いつも勉強を続けなければなりません。
人気ブログランキング参加中。
↑ の部分をポチッと押していただくだけでOKです。
クリックお願いします。