
2004年10月11日
「何でもあるけど何もない」
「何でもあるけど何もない」というのが今の時代ではないでしょうか。というコメントをテレビで誰かが言っていました。ほんとにその通りだと思います。住まいづくりにも同じことが言えるような気がします。せっかく建てるのだから、こんな風にしておきたい、少しでも不便を感じるのがいやだからあれもいるこれもいる・・・・。当然の気持ちだとは思いますが、何もかも実現しようとしたら、いくらお金があっても足りません。少し冷静になって考えてみるとなくてもよいものもたくさんあります。住み方の工夫と少しの我慢で済むこともたくさんあるはずです。工夫と少々の我慢には、別の何かがひそんでいることが多々あるような気がします。工夫するおもしろさ、我慢することによって感じることや思い出になること。極端であまりいい例でないかもしれませんが、昔小さいころ雨が降ると雨漏りがしてきて(ボロ屋だったもので)、雨が落ちてくる下に洗面器やバケツを置いてしのいでいたのも、子供心には落ちる雨音のリズムが楽しかったりしたものです。それが今は懐かしい思い出になって心に残っています。今なら雨漏りなんかしたら欠陥住宅ですが・・・・。家にお風呂がなくて、銭湯に通っていたのも不便でしたが、そこで出会う人とのかかわりや、帰り道の心地良さなどは家にお風呂がなかったから経験できたことです。年に一回あるかないかの泊り客のためにそれも2人かも3人かもと気にして必要以上の部屋を確保したり、年に何回も使わないものの収納を大きなものだからと出し入れしやすい場所を確保しなければと気にしたり・・・・。それよりもいざとなったら雑魚寝と考えたら思ってもいない楽しい時間が持てるかもしれないし、少し面倒くさいと思いながら出し入れしなくちゃならないことがあっても、そこにしまいこんで忘れかけていた懐かしい品物を発見できるかもしれないし。せっかく建てるのだから、無駄なお金の使い方をせず、何かが残るような何かを感じられるような家にしたいものです。無いものにしか得られない何かがあるってこと忘れていませんか?
Posted by 三和総合設計 at 19:05│Comments(0)