2005年12月30日

談合問題

今日も朝刊記事から一つ。

大手ゼネコンが、来年からの改正独禁法の施行を契機に談合を一切やめるという記事が載っていました。
本当だろうかというのが第1感です。

談合というのは良くないことこれは当たり前のこと。
それでもなくならないのには何か原因がありますね。

談合の中でも最も許せないのは「官製談合」。これは、お役人が、退職後の天下り先を確保するために、官から率先して談合を行なわせ(天の声というもの)、企業をコントロールするもの。これは、すぐにでもやめることはできますよね。

問題は地方などで行なわれている談合。
地域の工務店などが自分たちの企業を守るために行なっている談合。
このあたりになると、談合について関係者に話を聞くと「必要悪」という答えが返ってきます。
最近では、受注競争が激しく、役所が定めた予定価格の70%ぐらいで工事が落札されることがよくあります。簡単に聞くと、「安くついて、いいことではないか」と思われるかもしれませんが、実態を聞くととんでもないことがあります。
競争が激化すると、役所が設定した最低価格(例えば予定価格の70%)でないと落札できないので、みんなその工事の見積もりをせずに、目をつぶって金額を入れます。
そういう業者が多いので、落札者はくじ引きとなったりします。
こんなことでまともな工事ができるのでしょうか。

見積もりをせずに工事を落札し、その後に下請業者と下請価格の交渉をするのですから、工事が始まっているにもかかわらずいつまでたっても下請業者が決まらない工種があるような事態もよくあることです。

低価格で工事を行なうとなると、下請業者も職人もあまり良好な業者が来ない場合もよくあります。工事には設計図があるのですが、現場で勝手に仕様より安いものに変更してしまう業者もいますし、そうでなくても、丁寧な仕事というのはなかなか望むことはできません。図面に書かれている最低の内容を進めていくことになってしまいます。ただでも、建築工事は手仕事の部分が多いので、一生懸命仕事をしても多少のばらつきは出てくるものです。そういう中で、最低を狙った工事を行なうと問題がおこって当たり前ということになります。

建設業者でも、まともな業者で良い下請業者を使っている業者はとことん安い価格で受注することはできません。自由競争(過当競争)の中で仕事を受注する業者は、仕事を下請に丸投げするような業者や無茶な工事ができる業者ということになります。こういう業者に大切な公共工事などを任せても良いのでしょうか。

入札を行なうことで「適正価格」で発注できれば良いのですが、現実は「最低価格」で発注しているだけで、工事が良質なものになるとは限りません。
優良可ということでいえば、最初から「可」にしかならない発注方式なのです。
70%の価格で70点ぐらいの建物をつくる、これで勘定があっているのですよ。

談合は良くない、でも入札も良くない。どうしたら良いのか。難しい問題です。
要は、発注する担当者(公共工事なら行政の担当者)が見る目がないから入札を行なうしかないのです。
談合をやめさせるためには、その代わりの仕組みをつくらないと、良質な業者をどんどんつぶして、むちゃな業者(世間では耐力のある業者といっている。技術のある業者ではない)のみを残していくことになりかねません。

私たちは、住宅では入札という方式をとっていません。
建築士として責任の持てる業者に適正な仕事をしていただけるよう見積書をチェックし、良質な住まいを建てていただけるようにがんばっていこうと考えています。


手づくりおもちゃブログも見てくださいね。





Posted by 三和総合設計 at 07:31│Comments(0)
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