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2006年01月17日

阪神大震災11年に思う

1月17日。あの阪神大震災から11年がたちました。
大津市は震度5。その当時は震度5が今のように強弱の区別ができていなかったので、どちらだったのでしょうね。その後の情報から推測すると、震度5弱程度だったのではないでしょうか。

新聞報道によると、被災者のおおよそ85%の方々から震災に対しての意識の「風化」を感じているそうです。
人間は時間とともにいろいろなことを忘れていきます。悲しみの情報は引きずらないほうが良い。被災者が震災に対して忘れつつあることはむしろ好ましいことではないでしょうか。

震災に対する意識が風化することの問題はむしろその周りの社会の仕組みに問題が残ります。
防災意識の欠如や耐震住宅の問題などがあります。
防災意識や体制については、行政などにお任せするとして、私たちの業界の責務に耐震という問題があります。耐震偽装問題のように、あのような被害が起こってもいるのに関わらず、金もうけのためなら何でもしてしまう企業体質を変えなければ、阪神大震災の教訓は活かすことはできません。
ハウスメーカーなどは震災直後から、震災を販売の営業ツールとして使い始めました。「木造住宅は弱い。」「瓦屋根は弱い」など数々の不正確な情報をマスコミを通じて流すことにより、自分達のシェアーを獲得することに走りました。

震災の教訓を活かすということは、住まい手の不安感をあおり販売の営業ツールとして使うということではありません。正確な情報の元にしっかりした対策を立てることが重要です。
震災以来、耐震というものに目が向けられるようになったのは良いのですが、地震の特性というものをまったく無視した内容になっています。
大きな地震はその住宅が建っている敷地に対して数百年に一回ぐらいの割合で来るものです。
最近は情報社会ですから各地で起こった被害などが映像とともにお茶の間に流れてきます。そうするといつ自分のところに地震が襲ってくるか不安になり、住まいの情報のなかで地震対策だけが最も重要な事柄に思えてくるのです。今日の新聞広告にも、地震に強いことを売り物にしているハウスメーカーが赤を基調とした紙面一面の広告を出していました。

物事の一つだけに目が行くと重要なことが見えなくなります。
ハウスメーカーや2×4住宅の建物だけでなく木造在来工法の住宅にも耐震のためにということで、合板が張られるようになりましたが、湿気の多い日本の住宅にとって耐久性を損なうことになります。詳細は書きませんが、25年程度の住宅の寿命になっているにも関わらず、数百年に一回程度の地震を恐れているのです。少しおかしいと思いませんか。
耐震が重要でないといっているのではなく、耐震も耐久性もその他の性能もすべて大事なのです。そういうことを考えると住まいのあるべき姿というのが見えてくるのです。
社会の都合で25年程度の耐久性でも問題はなかったのですが、これからの社会はそうはいきません。耐久性の少ない(寿命が短い)住まいで耐震性が高くても意味がありません。地震は建設してすぐに襲ってくるとは限りません。確立からいえば地震に遭遇しないことが多いのですが、住宅の寿命の末期に地震にあうことも想定しなければなりません。腐りやすい木材を使ったり、住宅の耐久性を損なう合板の利用や構法などで弱った建物に地震が襲ってくることも充分考えなければなりません。
建設したときに地震に強い建物が、そのときに最も地震に弱い建物になっていることを考えなければならないでしょう。



Posted by 三和総合設計 at 12:37│Comments(1)
この記事へのコメント

今日は、自宅でお仕事・・久しぶりに現場から紙に向かう仕事をしております。
肩がコリます・・設計者の方々は肩こりは??運動していますか?(健康第一!!)

さて、今日の新聞広告記事、私も見ました・・硬い家造りから今度は多少柔らかい
壁ですか・・次から次へとよくまあ〜呆れます・・Mホームさん同じ事言い出してますけど・・結局それでも耐用年数は変わらないのに・・

耐用年数(耐久性)と耐震性の違いすら解らないのが、一般的なことなのでしょう。
恐ろしい・・
Posted by 「木の香」松田 at 2006年01月17日 15:44
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