
2006年05月14日
地域材で住まいを建てること
昨日、ある新聞社に「大津の森の木で家を建てよう!プロジェクト」で家を建てた住まい手の方と一緒に取材を受けました。
取材を受けるきっかけは、この連休中に大津市の再開発ビルの再スタートのイベントの「大津の森を考える」というパネルディスカッションでパネラーとしてお話させていただいたことに始まります。
新聞社の方に質問を受けて、「県産材で建てることと国産材で建てる違い」を聞かれるのですが、答えは微妙な部分が多く説明が非常に難しいものがあります。
住まい手の方は、決して地域の山を守るために大津の森の木で建てることを選択したわけではないとおっしゃいます。「大津の森の木で家を建てよう!プロジェクト」で開催したイベントに参加して、「そのプロジェクトに関わる人をみて、この方達となら安心して良い住まいが造れると思ってお願いすることにしました」とおっしゃっていました。
私も県産材、国産材に材質的に大きな違いはないと思っていますし、地域の山の環境を守るために住まい手に地域材を使っていただくなんてとんでもないことだと思っています。地域材を使うことのメリットが住まい手の方になければ意味がないのです。
結局、地域材を使うこととその他の国産材を使うことはそこに関わる人に違いがあるのです。
国産材は質的には問題はないと思いますが、そこに関わる方の思いは含まれていません。プロジェクトなどのように一つの目的で集まって住まいをつくる場合はそれぞれの立場の人が自分の責任を最大限に活かしながら、住まいづくりとしての一連の責任を果たすのです。ですから住まい手に完成物を手渡すときに結果としてメリットがあるのだと思います。
いくら食材が良くても料理人が悪ければおいしい料理ができないということと同じようなものです。
最近、地域の木を使って家をつくるという組織があちこちに出来てきました。
私は少し不安を持っています。
いつでも話が「地域の山の環境を守る」ということが前面に出されます。それは非常に重要なことですが、もっと重要なことは住まい手に良い住まいを引き渡すことです。
地域の山の木を使うことに賛同するがあまり木造の設計はしたことがないというような設計者や地域の木で家をつくるのがブームなら一度そういう家づくりもやってみるかというような工務店なども出てきているように思われます。
地域の木で家を建てる運動が環境意識を持った住まい手を取り込む営業手段になったりしているようにも思います。
地域材を活かして設計し、地域材の癖を見抜きながらよりよい施工を行なう。その建物を見てこんな家に私も住みたい。ハウスメーカーの家と同じように住まいづくりの選択肢の一つとして認知されるようにならなければ、本当に地域の山の環境が守られることはないと思います。
住まい手の環境意識に頼った「地域材を使った家づくり」は工務店の営業手段の一つにはなりえても、社会問題化している日本の山の問題を解決することにはなりません。
山の問題の解決には、遠い道かもしれませんが設計者、施工者が住まい手をうならせるほど良い建物を造るしかないのだと思います。
取材を受けるきっかけは、この連休中に大津市の再開発ビルの再スタートのイベントの「大津の森を考える」というパネルディスカッションでパネラーとしてお話させていただいたことに始まります。
新聞社の方に質問を受けて、「県産材で建てることと国産材で建てる違い」を聞かれるのですが、答えは微妙な部分が多く説明が非常に難しいものがあります。
住まい手の方は、決して地域の山を守るために大津の森の木で建てることを選択したわけではないとおっしゃいます。「大津の森の木で家を建てよう!プロジェクト」で開催したイベントに参加して、「そのプロジェクトに関わる人をみて、この方達となら安心して良い住まいが造れると思ってお願いすることにしました」とおっしゃっていました。
私も県産材、国産材に材質的に大きな違いはないと思っていますし、地域の山の環境を守るために住まい手に地域材を使っていただくなんてとんでもないことだと思っています。地域材を使うことのメリットが住まい手の方になければ意味がないのです。
結局、地域材を使うこととその他の国産材を使うことはそこに関わる人に違いがあるのです。
国産材は質的には問題はないと思いますが、そこに関わる方の思いは含まれていません。プロジェクトなどのように一つの目的で集まって住まいをつくる場合はそれぞれの立場の人が自分の責任を最大限に活かしながら、住まいづくりとしての一連の責任を果たすのです。ですから住まい手に完成物を手渡すときに結果としてメリットがあるのだと思います。
いくら食材が良くても料理人が悪ければおいしい料理ができないということと同じようなものです。
最近、地域の木を使って家をつくるという組織があちこちに出来てきました。
私は少し不安を持っています。
いつでも話が「地域の山の環境を守る」ということが前面に出されます。それは非常に重要なことですが、もっと重要なことは住まい手に良い住まいを引き渡すことです。
地域の山の木を使うことに賛同するがあまり木造の設計はしたことがないというような設計者や地域の木で家をつくるのがブームなら一度そういう家づくりもやってみるかというような工務店なども出てきているように思われます。
地域の木で家を建てる運動が環境意識を持った住まい手を取り込む営業手段になったりしているようにも思います。
地域材を活かして設計し、地域材の癖を見抜きながらよりよい施工を行なう。その建物を見てこんな家に私も住みたい。ハウスメーカーの家と同じように住まいづくりの選択肢の一つとして認知されるようにならなければ、本当に地域の山の環境が守られることはないと思います。
住まい手の環境意識に頼った「地域材を使った家づくり」は工務店の営業手段の一つにはなりえても、社会問題化している日本の山の問題を解決することにはなりません。
山の問題の解決には、遠い道かもしれませんが設計者、施工者が住まい手をうならせるほど良い建物を造るしかないのだと思います。
Posted by 三和総合設計 at 08:06│Comments(0)