
2008年06月19日
既存不適格
既存不適格。なにやら、怪しい言葉ですね。
既存不適格というのは、建築基準法の中で使われている言葉です。
「既存不適格建物」と「建築基準法違反建物」似たような言葉に思えますがどこが違うのでしょう。
どちらの建物も現行の建築基準法に適合していないのは同じです。
しかし、「既存不適格建物」は、建設された後に建築基準法が改正され、現行の法律に適合しないようになったものに対し、「建築基準法違反建物」は建築基準法に違反することがわかっていて、違反行為で建てられた建築物です。
悪意と善意と言う言い方をすれば、「既存不適格建物」は悪意無く建てられた建物(善意の建物)であり、「建築基準法違反建物」は悪意の建物だといえます。
皆さんにも分かりやすい例を挙げると、建築基準法の耐震規定などが挙げられます。
昭和56年ごろに、耐震基準は新耐震基準になりました。
新耐震基準では、地震に対する規定などが強化されましたので、それ以前に建てられた建物の多くは既存不適格建物になってしまいました。
後から法律が変更になって、あなたの建物は建築基準法に適合していませんよと言われるようになったということです。
では、既存不適格建物にはなにか問題があるのでしょうか。
この、既存不適格という扱いが、今、じわじわと問題になってきているのです。
建物を建てた後、法律が改正されるわけですから、建て主にはどうすることもできません。
いわば、後だしジャンケンみたいなものです。勝ちようが無いのです。
法律を改正した国の一人勝ち(勝ちといえるかどうか?)です。
その既存不適格建築物に対する扱いが、あの耐震偽装問題以降扱いが厳格になり、現行法律に適合するような法律改正がなされない限り、増築などはほとんど不可能になったのです。
ちゃんと法律を守って住まいを建てたものであるにもかかわらず、現行の法律に合うように大改造しなくては増築してはいけません。こんなことになっています。
現行の法律にあわすような改造と言うのは簡単なことではありません。
耐震金物をつけるとなると、仕上げ材などを全部めくってする必要がありますし、基礎に鉄筋を入れるということになれば、建物を全部持ち上げたり、かなりの費用をかける必要があります。
自分が、法律をちゃんと守って建ててきた住まいに、そろそろ子どもも大きくなってきたので8畳ぐらいの部屋を増築しようかと考えても、なかなか簡単にはいかないような制度になってきているのです。
この問題は、一般の住まい手の方はほとんど気がついておられないと思いますし、プロの方々も、そういった場面に直面しないと分からない問題だと思います。
自分の住まいは新しい住まいだから大丈夫だと思う方がおられるかもしれませんが、大きな間違いです。
今の建築行政のやり方は、何か問題があれば、法律改正を行なうことにより問題を処理しようと考えます。
ですから、新築が終わった住まいは、すぐに「既存不適格建築物」になる可能性がありますし、将来自分の財産でありながら、増築はできないと考えなければならないようになってしまっています。
中古物件を販売する不動産屋さんは、既存不適格建物である(もしくはすぐに既存不適格になる恐れがある)ため、増築などは大改修をしない限り無理ですよといった説明をしながら販売をしなければ、重要事項説明違反になるのではないかと思います。
この既存不適格建物の扱いはひょっとしたらハウスメーカーなどの圧力ではないかと思ったりします。
自分の建物でありながら、増築などができない。自分の望みをかなえたいなら、壊して新築するしかない。
こんなことになって喜ぶのは誰だろうなどと考えてしまいます。
これからの世の中、循環型社会が求められ、スクラップアンドビルドの考え方は問題が多いとされていますが、法律の世界では、今、住んでいる住まいを早く壊して建て直しなさいといっています。
歴史的価値のある建物は、ほとんどが既存不適格でしょう。
数奇屋風の落ち着いた住まい。これも既存不適格。
早く壊して、プレハブ住宅にしなさいと言うことでしょうか。
でも、プレハブ住宅も2、3年も経てば法律改正により既存不適格になるのは確実です。
しかも、住まい手の方が改造することは不可能ですし、メーカーも対応ができないはずです。
木造住宅はプレハブなどの工業化住宅とは違い、増改築がしやすいのが特徴です。
その利点を法律が殺す方向に動いています。
まだまだ使える建物を、壊す方向に持っていくような法律の制度や運用。
これって、国民の財産を守る民法に違反していないでしょうか。
そろそろ、さまざまな問題を法律や制度で解決しようとするやり方をやめなければならないと思います。
一つの問題が解決できても、その何倍もの問題が起こってしまいます。
建物をどうするか、これは住まい手の自己責任で考えるべきものです。
住まい手の方々が自分で考える。これが大切なことなのです。
今の社会のように、住まいを選ぶとき、企業の安心感で買ったり、テレビコマーシャルで選んだりし、問題がおきたら国の責任にする。
こんなことをやっている限り、日本の住まいは良くなることはありません。
既存不適格というのは、建築基準法の中で使われている言葉です。
「既存不適格建物」と「建築基準法違反建物」似たような言葉に思えますがどこが違うのでしょう。
どちらの建物も現行の建築基準法に適合していないのは同じです。
しかし、「既存不適格建物」は、建設された後に建築基準法が改正され、現行の法律に適合しないようになったものに対し、「建築基準法違反建物」は建築基準法に違反することがわかっていて、違反行為で建てられた建築物です。
悪意と善意と言う言い方をすれば、「既存不適格建物」は悪意無く建てられた建物(善意の建物)であり、「建築基準法違反建物」は悪意の建物だといえます。
皆さんにも分かりやすい例を挙げると、建築基準法の耐震規定などが挙げられます。
昭和56年ごろに、耐震基準は新耐震基準になりました。
新耐震基準では、地震に対する規定などが強化されましたので、それ以前に建てられた建物の多くは既存不適格建物になってしまいました。
後から法律が変更になって、あなたの建物は建築基準法に適合していませんよと言われるようになったということです。
では、既存不適格建物にはなにか問題があるのでしょうか。
この、既存不適格という扱いが、今、じわじわと問題になってきているのです。
建物を建てた後、法律が改正されるわけですから、建て主にはどうすることもできません。
いわば、後だしジャンケンみたいなものです。勝ちようが無いのです。
法律を改正した国の一人勝ち(勝ちといえるかどうか?)です。
その既存不適格建築物に対する扱いが、あの耐震偽装問題以降扱いが厳格になり、現行法律に適合するような法律改正がなされない限り、増築などはほとんど不可能になったのです。
ちゃんと法律を守って住まいを建てたものであるにもかかわらず、現行の法律に合うように大改造しなくては増築してはいけません。こんなことになっています。
現行の法律にあわすような改造と言うのは簡単なことではありません。
耐震金物をつけるとなると、仕上げ材などを全部めくってする必要がありますし、基礎に鉄筋を入れるということになれば、建物を全部持ち上げたり、かなりの費用をかける必要があります。
自分が、法律をちゃんと守って建ててきた住まいに、そろそろ子どもも大きくなってきたので8畳ぐらいの部屋を増築しようかと考えても、なかなか簡単にはいかないような制度になってきているのです。
この問題は、一般の住まい手の方はほとんど気がついておられないと思いますし、プロの方々も、そういった場面に直面しないと分からない問題だと思います。
自分の住まいは新しい住まいだから大丈夫だと思う方がおられるかもしれませんが、大きな間違いです。
今の建築行政のやり方は、何か問題があれば、法律改正を行なうことにより問題を処理しようと考えます。
ですから、新築が終わった住まいは、すぐに「既存不適格建築物」になる可能性がありますし、将来自分の財産でありながら、増築はできないと考えなければならないようになってしまっています。
中古物件を販売する不動産屋さんは、既存不適格建物である(もしくはすぐに既存不適格になる恐れがある)ため、増築などは大改修をしない限り無理ですよといった説明をしながら販売をしなければ、重要事項説明違反になるのではないかと思います。
この既存不適格建物の扱いはひょっとしたらハウスメーカーなどの圧力ではないかと思ったりします。
自分の建物でありながら、増築などができない。自分の望みをかなえたいなら、壊して新築するしかない。
こんなことになって喜ぶのは誰だろうなどと考えてしまいます。
これからの世の中、循環型社会が求められ、スクラップアンドビルドの考え方は問題が多いとされていますが、法律の世界では、今、住んでいる住まいを早く壊して建て直しなさいといっています。
歴史的価値のある建物は、ほとんどが既存不適格でしょう。
数奇屋風の落ち着いた住まい。これも既存不適格。
早く壊して、プレハブ住宅にしなさいと言うことでしょうか。
でも、プレハブ住宅も2、3年も経てば法律改正により既存不適格になるのは確実です。
しかも、住まい手の方が改造することは不可能ですし、メーカーも対応ができないはずです。
木造住宅はプレハブなどの工業化住宅とは違い、増改築がしやすいのが特徴です。
その利点を法律が殺す方向に動いています。
まだまだ使える建物を、壊す方向に持っていくような法律の制度や運用。
これって、国民の財産を守る民法に違反していないでしょうか。
そろそろ、さまざまな問題を法律や制度で解決しようとするやり方をやめなければならないと思います。
一つの問題が解決できても、その何倍もの問題が起こってしまいます。
建物をどうするか、これは住まい手の自己責任で考えるべきものです。
住まい手の方々が自分で考える。これが大切なことなのです。
今の社会のように、住まいを選ぶとき、企業の安心感で買ったり、テレビコマーシャルで選んだりし、問題がおきたら国の責任にする。
こんなことをやっている限り、日本の住まいは良くなることはありません。
Posted by 三和総合設計 at 07:08│Comments(0)