
2008年11月17日
伝統構法
一昨日、昨日と木の家ネットの総会で、埼玉県の川越市に行ってきました。 川越は小江戸と呼ばれ、蔵のある美しい街です。 総会はその大きな蔵の中で開催させていただきました。毎年開催される総会では、各地から来られる大工さんや設計者の方々との出会いが楽しみです。懇親会や分科会でいろいろとお話させていただきましたが、その中で伝統構法というものの考え方をもう一度見直していかなければならないのではと感じました。伝統構法といえばすぐに、仕口や納まり、架構などの技術的な話になるのですが、そういった技術的な話だけで良いのだろうかということです。伝統といえば、その国の文化を守って始めて意味のあることです。今、伝統構法を守ろうという声は、その高い技術を持っている大工さんを中心に起こっていますが、その腕を活かせる法律や制度を作って欲しいという方向に進んでいます。しかし、伝統を守るということは、新しくそういった建物を造れるようにすることも大事ですが、そういった長持ちする住まいに住んでいる人たちを救うことが大事なのです。制度や設計法をつくるということは、今住んでいる住まいのすべての建物の安全性が検証できることが必要ですし、もし安全でないことが判ればその補強方法も提案することができなければならないのです。制度や基準を作ろうとすると、解析が難しいものなどは捨てられる傾向にあります。物事を単純化することにより、物理的な解析を進められることは事実ですが、そういった進め方が本当に伝統を守ることにはつながらないのではないかということです。研究的な立場から言えば、伝統構法を解析するということは重要であり、意味のあることではあると思いますが、その中で切り捨てられるものがあるとしたら、それは少し方向が間違っているのではないかということです。伝統構法の設計法を確立する国のプロジェクトに少しかかわらせていただいていますが、そういった視点でもう一度伝統構法の考え方を見直してみなければならないのではないかと思いました。今月末から兵庫県の三木市で伝統構法木造住宅の実大実験が行われます。その実験においても技法などだけでなく、生活という視点でもって考えることも提案してみたいと思います。人気blogランキング参加中。クリックお願いします! ↑ の部分をポチッと押していただくだけでOKです。
Posted by 三和総合設計 at 11:48│Comments(0)