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2005年07月19日

住宅用火災警報器

住宅用火災警報器の設置が1年後ぐらいにすべての住宅に義務付けられようとしています。
私は、住宅の24時間換気をすべての建物に義務付けた建築基準法と同様にとんでもない法律改正だと思っています。
このように書くと、住宅用火災警報器を設置することが悪いように思っているように聞こえてしまうでしょうけれども、私が問題としているのはすべての建物に一律に義務付けすることの問題を言っているのです。
消防署などで打合せすると、行政マンは必ず「警報機をつけるのとつけないのとどちらが安全だと思う」というような質問をしてきます。警報機をつけたほう方が安全なのは百も承知ですが、住まいづくりは限られた予算の中で行なうという重要な点をお役所の人々は忘れています。
思えば、4〜5年前に住宅性能表示制度ができました。その中で、火災警報器や自動火災報知器の設置等級が制度化され、火災警報器を設置した住まいは、等級2〜4までの評価を得ることになっており、住まい手が自分の住まいの状況と予算なども考え設置することになっていました。性能表示制度は建築基準法が住まいの最低の基準を定めるのに対し、それ以上のグレードを示すことにより、住まい手の意志で住宅の性能を決めることができる制度で、考え方そのものは正しいものだと思います。しかしながら、その基準が都市型の建売住宅などを評価するような基準でしかなく、本当の良い建物を評価できない欠点があり、制度があまり浸透していません。建売住宅は安さを売り物にするわけですから、審査などに手間と費用がかかる性能表示制度は自分たちの建物を評価しやすい基準であっても、利用することはほとんどないようです。
今回の住宅警報機設置の義務付けはそのあおりではないかと思っています。性能表示制度で住宅用警報機の設置等級が決まった。するとその製品が供給されないといけない。前もって、大手の設備メーカーに商品開発や供給を打診しておく。性能表示制度がスタートする。制度がほとんど利用されない。メーカーなどから圧力がかかる。仕方がないからすべての住宅に義務付けされるように法律改正する。
こんなところでしょうか。最初にも書いたように、住まいは限られた予算の中で造られます。その中で、あまり重要でない部分にお金がかかると他の部分に予算が廻らなくなります。
国産材で建てる30坪ぐらいの建物の構造材(柱や梁材)などの費用は全体で100万ぐらいです。その3分の1ぐらいが本当に必要なのと思われるような設備で消えていくと思うと腹が立ってしょうがありません。
こんな法律つぶしてしまいたいと思いますが方法がありません。むしろ経済の活性化につながるのではなんて声が聞こえてきそうです。今まで、馬鹿な経済対策をたくさんしてきましたが、現状を考えると効果があったとは思えません。
本当に必要なものを長い目で考え、耐震にしても、防火にしても、健康対策にしても、日本の昔からの住まいづくりの知恵に答えはあるのではないでしょうか。設備機器はあくまでその補完という考え方でよいのでしょう。
都会の非人間的な生活をしている人々が作る法律にはもううんざりです。





Posted by 三和総合設計 at 16:44│Comments(0)
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