
2004年06月29日
オープンネット
設計事務所が中心になって、住まい手の方と各工種の職人さんに直接契約してもらい、住まいづくりを進めるシステムがあります。住まい手さんから受けた仕事を下請の工務店に丸投げするようなひどい工務店などが存在するために、工務店に経費をとられるぐらいなら直接契約したほうが良いということから発生したものと考えています。昔は、大工さんが中心になって仕事を進めましたが、各職人さんと直接金銭の支払いは行なわれていました。この方法と同じなのですが、現代の住まいでは、工種が昔と比べ物にならないぐらい多くなっています。そういう中で、職人さん同士の仕事の段取りを付けたり、工種間の問題を解決したりするのが元請である工務店の監督さんの仕事なのです。例えば、柱と建具の間に隙間があった場合、大工さんか建具やさんかどちらの責任なのでしょうか。両方に責任がある場合もあります。分離発注の場合、そのあたりが不明瞭になります。まして、価格を安くするために、インターネットなどで募集して職人さんに発注した場合、見ず知らずの職人さん同士が、問題の擦り付け合いということも起こる可能性があります。工務店が請負うということは、工程をスムーズに進めるとともに、すべての責任を元請が受け持つことにより、住まい手の方々に責任を持つためです。建物の完成後のメンテナンスについても同じようなことが考えられます。住まい手の方が直接職人さんと交渉することになりますが、責任のなすり請け合いなども考えられますし,地域に根ざした下請業者さんでないので、メンテナンス対応がしにくいことも考えられます。私は、オープンネットシステムも70点ハウスのひとつだと思っています。設計事務所が信頼できる工務店を知らない場合や何とか経費を抑えて住まいをつくらなければならない場合にありうる選択ではないかと思っています。住まいは少なくとも50年以上住み続けられるものでなければなりません。目先のことにとらわれて、将来起こる問題などに目をつむるのは良くないと思っています。設計事務所は設計事務所で、決して工務店の現場管理はできません。もし、設計事務所がそれを行なうのなら、設計施工を行なっている工務店と変わりはなくなってしまいます。
Posted by 三和総合設計 at 18:22│Comments(0)