2004年06月29日

品確法

平成11年に品確法(正確には住宅の品質の確保の促進等に関する法律といいます)が制定されました。目的は大きく2つあって、1つ目は瑕疵保証期間を10年にするということであり。2つ目は、住宅の性能を等級によって表示するということです。性能を表示するということは、子供の成績に対して通信簿をつけるのと同じようなものです。今までは、住宅に対して、建築基準法をクリアしている住宅か、違反している住宅かの区別ぐらいしかありませんでした。唯一、住宅金融公庫の基準は建築基準法のレベルよりも少し良いものとして、評価する方法がありました。法律では、なかなか住宅の性能の良し悪しを評価することはできませんでしたので、新しい取り組みとして一定の評価が与えられるものだと思います。
私は、法律が制定されてから4年間、滋賀県の住宅生産者向けの法律の講習会講師として活動しましたが、その中で、この法律の問題点も多く感じることとなりました。その中でも大きな問題は、この法律や制度が正確に扱える住宅は、都市型の規格化住宅であるということです。特に構造の等級については、伝統的な木造住宅を評価する方法は確立されておらず、この制度で評価すると非常に悪い結果となります。その他の性能評価項目についても、伝統的な住宅が持つ利点はうまく評価されずに、化学的な対処方法などですべて高い評価が与えられるようになっています。もうひとつは、それぞれの評価項目が縦割りで、関連性がないという問題があります。その他のコラムでも書きましたが、合板などを耐力壁に利用すると非常に高い耐震評価がなされますが、50年ぐらい先に本当に同じ性能があるかは疑問があります。
このように住まいの性能はトータルで考えないと意味がない場合があるのですが、それぞれの項目で評価されてしまうことに問題を感じています。もうひとつの問題は、評価項目に表れない問題はどう考えるかということです。先ほども書いたように、子供の成績表で考えて見ますと、通信簿でオール5をとっている子供が本当に優れた子供であるかということです。確かに、知識としては優秀な頭脳であるかもしれませんが、人間として判断するとき、その他、成績表に現れない事柄も含めて判断しないといけないと思います。住まいについても同じで、性能が優れているかどうかだけで良い住宅かどうを判断することはできません。プランニングや将来の可変性、心地よさなど、性能では判断できないことがあまりにもたくさんあります。
結局のところ、本当に良い住まいを性能表示制度で判断するのはできないなというのが結論です。商品化された都市型住宅を購入するのにあたり、どの商品(住宅)を選んだら良いかという判断に利用できるのだなということです。私たちは、やはり今まで通り住まい手の皆さんとコミュニケーションをはかり、こつこつと設計業務を進めるのが本筋だなと感じました。








Posted by 三和総合設計 at 18:24│Comments(0)
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