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2006年02月01日

住宅の耐震性と耐久性

住まいの耐震性に注目が集まっています。

近年、大きな地震が発生し、住まい手の方々は住まいに高い耐震性能を求めるようになりました。地震国日本ですから当然のことと言えると思いますが、耐震診断などに出かけると、住まい手が誤解しておられることがありますので少し書いてみたいと思います。
耐震性と耐久性を誤解または混同されている方々がすごく多いのです。耐震性と耐久性は関係があるのですが、後ほど書くとして、耐震補強を行なうと建物の寿命が延びると考える方が多いのです。
もちろん耐震補強をするのですから、地震が来たとき壊れないですむということから考えるとその場合は長持ちするといえなくもないのですが、地震が来なかったときは、耐震補強のみの改修では建物の寿命は変わらないことになるのです。
耐震診断に行って、診断後住まい手の方々とお話をすることが多いのですが、必ず、この補強を行なったら後何年ぐらいこの家は使えますか。20年ぐらい大丈夫ですかという質問があります。先ほども書いたように、耐震補強は地震に対しての耐力を増やすために行なうので、耐久性のアップとは別なのですよと説明するのですが、実際補強にお金をかけるわけですから、建物の寿命も延ばしたいという気持ちは当たり前のことです。
今まで調査をさせていただいた住まいの中には、申し訳ありませんがもともとのつくりがよろしくないものがかなりあります。かなりあるというより、そちらのほうがほとんどといっても違いないぐらいです。そういう建物は、使っている柱、梁などが細くて材種も腐りやすいもので、見えない小屋裏などはひどいものです。谷木の代わりにタルキが使ってあったり、母屋や束が異常に小さい材料だったりして、寿命を長くすることは難しい建物が多いのが現状です。そういった中で質問されると言葉に詰まってしまうこともあります。耐久性の高い建物は、新築の際に考えておかないとどうしようもないことが多いのです。
それでは、耐震性と耐久性とはまったく関係がないのかというとそうでもありません。
最近では、高い耐震性を売り物にしたハウスメーカーなどの宣伝が目立ちますが、耐震性を新しい建物を元に判断しているという間違いがあります。
どんな構法の建物でも、新しいうちは耐震性はあります。
古い木造住宅が多く被害を受けた阪神大震災のイメージで木造住宅は地震に弱いとハウスメーカーなどがキャンペーンのように言い続けましたが、もちろん木造住宅も充分な耐震性があります。
では、どういう建物が被害にあうのかといいますと、一つは手抜きされた建物で、二つ目は耐久性がなくなった建物といえるのです。
手抜きの建物は説明しなくてもわかりますね。
耐久性がなくなった建物とはどういうことでしょう。言い換えれば、古くなって、当初の性能が発揮できなくなった建物です。
ですから、どんな構法の建物でも、高い耐震性を売り物にしているハウスメーカーの建物でも耐久性がなくなったときに地震が来たら必ず壊れるのです。
阪神大震災の際に木造住宅がたくさん壊れたのは、耐用年数をはるかに超える木造住宅が多かったこと、プレハブや2×4の建物に古い建物がなかったことだけなのです。
プレハブ住宅、2×4住宅、建売住宅の寿命は現状では25年程度です。25年ぐらいで壊されているから地震の被害も少ないのですが、長く使われるものが出てきたら、その際の被害は大きなものになる可能性もあります。
いつも、私は言います。地震はいつ襲ってくるかわかりません。新しい時にくるとは言い切れません。その可能性のほうが少ないのです。大きな地震のサイクルは非常に長いもので住まいがそういう地震に遭遇する可能性は非常に小さいのです。もちろん耐震性の低い建物をつくるのはまずいですが、耐震性という言葉にだまされて、耐久性の低い建物を建てるほどばかげたことはありません。
また、耐震性が高い建物でも、その建物の寿命を越えた時に地震に遭遇したら必ず被害を受けることは間違いありません。

本当の耐震性の高い建物とは、耐久性とともに考えないといけないということです。



Posted by 三和総合設計 at 07:12│Comments(0)
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