
2006年03月20日
工業高校の生徒が町屋を無料診断
今日も新聞記事から。
彦根市の工業高校の生徒が県立大学や地元建築士会の協力を受け、木造町屋の耐震診断を無料で行なうという記事が新聞に掲載されていました。
普通に考えると「良いことだなあ」ということになるのでしょうか。
私はこの記事を見てとんでもないことだと思いました。
少し前に書いたように、町屋の耐震診断は非常に難しいものがあります。今、市町村が無料で診断を行なっている簡易な方法ですと壁量が不足するため、ほとんどの建物はNGという答えが出ます。そのため、正確な診断を行なうためには「限界耐力設計法」という診断方法によらないとうまくいきません。しかし、この方法で診断するには、建物の構造を詳細に調査しないと診断できません。とても無料でできる範囲ではありませんし、伝統的な技法をしっかりと身につけた人でないと納まりなどがわからず判断ができないのが通常です。「建築士会の応援を得て」と書いてありますが、建築士会自体が限界耐力設計法を習得している人もほとんどないでしょう。そういった中で進められる耐震診断で、ほとんどの建物が「NG」という判定が下されるのは明らかなように思います。
最近、政府を中心に地方公共団体まで耐震診断に力を入れていますが、地震が来ときにかかる行政の負担を減らすために推進しているだけで、本当に安全性を高めることが主たる目標になっているとはとても思えません。
耐震診断の結果、「NG」となることにより住まいが壊され、新しい住宅が建設されれば、政府の考える支出は減るわけですから目的は達せられるのです。
本当に古い町屋を残すことも視野に入れているなら、もっと高いレベルの診断をしないといけません。
この新聞記事をみて、いつもマスコミに感じている問題を再び感じました。
とりあえず記事が、一般受けするものばかりであるということです。
NPO、ボランティア、学生などが行なうさまざまな取り組みは記事に取り上げられやすく、一般のプロが地道に行なっているものは話題性が乏しいので記事にはなかなかなりません。
住宅と文化を考えると、一般の方々が周辺の環境を守るため「ゴミ拾い」をするのと訳が違います。高い技術や技能を伴って可能なものが日本の木の文化です。
安い、早いことを売り物にした住宅がどんどん建設されていますが、これが短い期間の中で新たな耐震問題を産み出すと思いますが、そういう中で、厳しい採算性の中、伝統的な技術を活かしながら、何とか木造建築の改修などを行なっている職人さんなどにはあまりスポットが当てられることはありません。
職人さんにスポットが当てられるときは、文化財レベルの時だけです。
毎日のように入る住宅関係の折り込み広告。記事はレベルの低い受け狙いの記事ばかり。
私は、マスコミがその役割を果たしているとはとても思えません。
彦根市の工業高校の生徒が県立大学や地元建築士会の協力を受け、木造町屋の耐震診断を無料で行なうという記事が新聞に掲載されていました。
普通に考えると「良いことだなあ」ということになるのでしょうか。
私はこの記事を見てとんでもないことだと思いました。
少し前に書いたように、町屋の耐震診断は非常に難しいものがあります。今、市町村が無料で診断を行なっている簡易な方法ですと壁量が不足するため、ほとんどの建物はNGという答えが出ます。そのため、正確な診断を行なうためには「限界耐力設計法」という診断方法によらないとうまくいきません。しかし、この方法で診断するには、建物の構造を詳細に調査しないと診断できません。とても無料でできる範囲ではありませんし、伝統的な技法をしっかりと身につけた人でないと納まりなどがわからず判断ができないのが通常です。「建築士会の応援を得て」と書いてありますが、建築士会自体が限界耐力設計法を習得している人もほとんどないでしょう。そういった中で進められる耐震診断で、ほとんどの建物が「NG」という判定が下されるのは明らかなように思います。
最近、政府を中心に地方公共団体まで耐震診断に力を入れていますが、地震が来ときにかかる行政の負担を減らすために推進しているだけで、本当に安全性を高めることが主たる目標になっているとはとても思えません。
耐震診断の結果、「NG」となることにより住まいが壊され、新しい住宅が建設されれば、政府の考える支出は減るわけですから目的は達せられるのです。
本当に古い町屋を残すことも視野に入れているなら、もっと高いレベルの診断をしないといけません。
この新聞記事をみて、いつもマスコミに感じている問題を再び感じました。
とりあえず記事が、一般受けするものばかりであるということです。
NPO、ボランティア、学生などが行なうさまざまな取り組みは記事に取り上げられやすく、一般のプロが地道に行なっているものは話題性が乏しいので記事にはなかなかなりません。
住宅と文化を考えると、一般の方々が周辺の環境を守るため「ゴミ拾い」をするのと訳が違います。高い技術や技能を伴って可能なものが日本の木の文化です。
安い、早いことを売り物にした住宅がどんどん建設されていますが、これが短い期間の中で新たな耐震問題を産み出すと思いますが、そういう中で、厳しい採算性の中、伝統的な技術を活かしながら、何とか木造建築の改修などを行なっている職人さんなどにはあまりスポットが当てられることはありません。
職人さんにスポットが当てられるときは、文化財レベルの時だけです。
毎日のように入る住宅関係の折り込み広告。記事はレベルの低い受け狙いの記事ばかり。
私は、マスコミがその役割を果たしているとはとても思えません。
Posted by 三和総合設計 at 07:19│Comments(0)