
2007年01月04日
うそのない住まいづくり、先を考えた住まいづくり
お正月の三が日が終わり、今日から仕事の方もおられると思います。
私どもの仕事は明日からですが、そろそろ仕事モードに体を変えて行かなければなりません。
今年の念頭として、もう一度住まいづくりに関して整理してみたいと思います。
私が目指す住まいづくりってどんなものでしょう。
タイトルに書かせていただいたとおり、「うそのない住まいづくり、先を考えた住まいづくり」といったところでしょうか。
こんな住まいが理想だというのももちろんありますが、住まいは住まい手の方々の希望に合わせて造るものです。設計者の思いが強く入りすぎるのは問題です。
それよりももっとベースになるものをしっかりと考えなければなりません。
私が最もいやなもののひとつが「だまし」です。
年が明けてTV番組のコマーシャルにローコスト住宅で台頭が著しいTホームがやたら登場します。
私はあまりハウスメーカーによるローコスト住宅は良いものとは思いませんが、その存在そのものを全く否定するものでもありません。
しかし、腹が立つのはなぜでしょうか。
うそが多いからです。
「坪○○万から」などといった呼び込みが、通常の業界の計算方法と全く違ったりします。また、工事に含まれないものもたくさんあるのですが、広告には老眼で見えないぐらいの字で書いてあります。
坪単価の出し方は特に法律で決められているわけではないので、違法だというわけではありませんし、小さな字でも書いてあればうそはついていないことになるのかもしれませんが、誠実ではありませんね。
本当に良いものをローコストで提供するのなら、どうどうと本当の姿をアピールすべきなのです。
こんなことはハウスメーカーだけではありません。
私の好きでないもののひとつに、「100年住宅」があります。
100年もつ住宅は、先ほどのローコスト住宅の反対に位置するものですが、安易に100年と言い過ぎのものもあります。
100年持つ住まいは、昔の民家では実証されていますが、最近のように冷暖房をする住まいや金物を使う住まいではなかなか実現できるものではありません。
私は、住まいづくりの目標を50〜60年においています。
100年を目指すと建物が全く違ったものになりますし、費用もかかります。
住まい方も制限されます。
金銭や生活条件が合う場合はそれでも良いのでしょうけれども、近年の社会生活にあわせた住まいとなると住まいも昔ながらの民家のようなものというわけには行きません。
できるだけ昔の知恵や技術を使いながら、住まい手の方に最も有効な住まいを提供するお手伝いをするのが私たちの仕事だと思っています。
今でも100年以上持つ住まいを造っておられる方がおられますが、多くはローコストなどに対抗する宣伝手段に使っている「100年住宅」があまりに多いように思います。
もうひとつ嫌いなもの。
工務店やハウスメーカーが設計をサービスのように扱うこと。また、設計者が工務店を飛ばして施主と専門業者を直接契約させるシステムが理想であると表現していることなどです。
設計者がちゃんと設計し、管理能力や責任能力がちゃんとある工務店が施工することが一番良いのに決まっています。
あまり良くない設計者や工務店がいるから、そんなシステムなどが良いものに見えてしまうのです。
お金を安くするために、必要なものを飛ばしているだけなのですが、それを良いものだと信じさせようとする「うそ」がいやなのです。
少し長くなってしまいますが、「先を考えた住まいづくり」についても少し書きます。
先に書いたように最近の住まいの宣伝は、法律に違反するほどではありませんが「うそ」がいっぱいです。
世間では2×4住宅が地震に強いと思われているようですね。
これをうそだというとメーカーから袋叩きにあいそうですが、私は最も地震には要注意の建物だと思っています。
建物を破壊するぐらいのエネルギーを持った地震は短くても数百年に一回ぐらいの周期だといわれています。
もう少し小さい震度5ぐらいの地震で50年ぐらいに一度でしょうか。
そんな周期でくる地震に対して、造ったときの強さなんてあまり大きな意味を持つものではありません。造ってから長い時間たったときに性能が落ちないかが重要なのですが、日本の湿気の多い気候風土において、ベニヤ板と腐りやすいSPF材で造られた2×4住宅が地震に強いといえるのは何年ぐらいまでなのでしょう。
日本の最近の住まいは寿命が25年程度ですから、地震が来る前に壊されるのでかまわないのでしょうか。
あまりに宣伝や評価が単純すぎます。
これからの住まいは耐久性が最も大事だと思いますが、耐久性と耐震性が掛け合わされたものが良い住宅といえると思います。
先を考えた住宅とは、住まい手の長い使用のなかで起こりえる中身を考えなければなりませんし、材料の調達や廃棄のことも考えなければなりません。
こんなことを書き始めたらいつまで書いても終わらないような気がしてきました。
何時間も書き続けるわけにはいきませんのでこのあたりにしたいと思いますが、ようはどんなことでも長い将来まで考えた上での判断をすることが重要だということです。
単一の機能だけを取り上げて誇張するのは「うそ」の部類だといいたいのです。
今年もぼやきながら住まいづくりの「本当」を追求し、皆さんの住まいづくりのお手伝いをしていきたいと思っています。
長くてごめんなさい<m(__)m>
私どもの仕事は明日からですが、そろそろ仕事モードに体を変えて行かなければなりません。
今年の念頭として、もう一度住まいづくりに関して整理してみたいと思います。
私が目指す住まいづくりってどんなものでしょう。
タイトルに書かせていただいたとおり、「うそのない住まいづくり、先を考えた住まいづくり」といったところでしょうか。
こんな住まいが理想だというのももちろんありますが、住まいは住まい手の方々の希望に合わせて造るものです。設計者の思いが強く入りすぎるのは問題です。
それよりももっとベースになるものをしっかりと考えなければなりません。
私が最もいやなもののひとつが「だまし」です。
年が明けてTV番組のコマーシャルにローコスト住宅で台頭が著しいTホームがやたら登場します。
私はあまりハウスメーカーによるローコスト住宅は良いものとは思いませんが、その存在そのものを全く否定するものでもありません。
しかし、腹が立つのはなぜでしょうか。
うそが多いからです。
「坪○○万から」などといった呼び込みが、通常の業界の計算方法と全く違ったりします。また、工事に含まれないものもたくさんあるのですが、広告には老眼で見えないぐらいの字で書いてあります。
坪単価の出し方は特に法律で決められているわけではないので、違法だというわけではありませんし、小さな字でも書いてあればうそはついていないことになるのかもしれませんが、誠実ではありませんね。
本当に良いものをローコストで提供するのなら、どうどうと本当の姿をアピールすべきなのです。
こんなことはハウスメーカーだけではありません。
私の好きでないもののひとつに、「100年住宅」があります。
100年もつ住宅は、先ほどのローコスト住宅の反対に位置するものですが、安易に100年と言い過ぎのものもあります。
100年持つ住まいは、昔の民家では実証されていますが、最近のように冷暖房をする住まいや金物を使う住まいではなかなか実現できるものではありません。
私は、住まいづくりの目標を50〜60年においています。
100年を目指すと建物が全く違ったものになりますし、費用もかかります。
住まい方も制限されます。
金銭や生活条件が合う場合はそれでも良いのでしょうけれども、近年の社会生活にあわせた住まいとなると住まいも昔ながらの民家のようなものというわけには行きません。
できるだけ昔の知恵や技術を使いながら、住まい手の方に最も有効な住まいを提供するお手伝いをするのが私たちの仕事だと思っています。
今でも100年以上持つ住まいを造っておられる方がおられますが、多くはローコストなどに対抗する宣伝手段に使っている「100年住宅」があまりに多いように思います。
もうひとつ嫌いなもの。
工務店やハウスメーカーが設計をサービスのように扱うこと。また、設計者が工務店を飛ばして施主と専門業者を直接契約させるシステムが理想であると表現していることなどです。
設計者がちゃんと設計し、管理能力や責任能力がちゃんとある工務店が施工することが一番良いのに決まっています。
あまり良くない設計者や工務店がいるから、そんなシステムなどが良いものに見えてしまうのです。
お金を安くするために、必要なものを飛ばしているだけなのですが、それを良いものだと信じさせようとする「うそ」がいやなのです。
少し長くなってしまいますが、「先を考えた住まいづくり」についても少し書きます。
先に書いたように最近の住まいの宣伝は、法律に違反するほどではありませんが「うそ」がいっぱいです。
世間では2×4住宅が地震に強いと思われているようですね。
これをうそだというとメーカーから袋叩きにあいそうですが、私は最も地震には要注意の建物だと思っています。
建物を破壊するぐらいのエネルギーを持った地震は短くても数百年に一回ぐらいの周期だといわれています。
もう少し小さい震度5ぐらいの地震で50年ぐらいに一度でしょうか。
そんな周期でくる地震に対して、造ったときの強さなんてあまり大きな意味を持つものではありません。造ってから長い時間たったときに性能が落ちないかが重要なのですが、日本の湿気の多い気候風土において、ベニヤ板と腐りやすいSPF材で造られた2×4住宅が地震に強いといえるのは何年ぐらいまでなのでしょう。
日本の最近の住まいは寿命が25年程度ですから、地震が来る前に壊されるのでかまわないのでしょうか。
あまりに宣伝や評価が単純すぎます。
これからの住まいは耐久性が最も大事だと思いますが、耐久性と耐震性が掛け合わされたものが良い住宅といえると思います。
先を考えた住宅とは、住まい手の長い使用のなかで起こりえる中身を考えなければなりませんし、材料の調達や廃棄のことも考えなければなりません。
こんなことを書き始めたらいつまで書いても終わらないような気がしてきました。
何時間も書き続けるわけにはいきませんのでこのあたりにしたいと思いますが、ようはどんなことでも長い将来まで考えた上での判断をすることが重要だということです。
単一の機能だけを取り上げて誇張するのは「うそ」の部類だといいたいのです。
今年もぼやきながら住まいづくりの「本当」を追求し、皆さんの住まいづくりのお手伝いをしていきたいと思っています。
長くてごめんなさい<m(__)m>
Posted by 三和総合設計 at 07:50│Comments(1)
この記事へのコメント
みんな判っているんですよね・・売り側は、知らぬは消費者ばかりなり!!
自分は昨年、不本意ながらローコストを最優先に外材・新建材も使いつつ、
セルフで家造りをしましたが、つくづく判ったのですが、地の性格、
気候、等々もわからずに、坪単価、幾らなんて絶対に言えませんし、
私も家造りをしているので、プロがやっても、予算が無いので、弟と
一緒につくり、新聞を断熱材に使っても、坪25〜35万円なんて、
絶対にありえないですね!!それは企業努力ではなく、誰かが泣く家造り
であるのは間違いなく、それが住まい手なのか造り手なのか・・その両者で
あるか、はたまた自然環境まで泣かしていることに、いい加減気付きましょう!!
賢い、そして見抜く目を持った消費者が増えない限り、結局そのトバッチリは
消費者にも返ってくるのです。
岩波さん!辛口コメントガンバレです!!
-----
COMMENT:
AUTHOR: Q太郎
DATE: 01/07/2007 18:45:20
現在軸組で計画中なので、2×4を支持するわけではありませんが、少し気になる表現があります。
>日本の湿気の多い気候風土において、ベニヤ板と腐りやすいSPF材で造られた2×4住宅が地震に強いといえるのは何年ぐらいまでなのでしょう。
とのことですが、
USAの南東部は亜熱帯気候で日本の本土よりかなり湿気が高いと思われます。この南東部地域では2×4の家は腐りやすいのでしょうか?
またベニヤ板まで「腐りやすい」というように受け取れます。しっかりと計画された気密換気環境においても「腐りやすい」のでしょうか?
単に2×4の住人や合板使用者に不安を煽っているような文章にしか思えません。
建築士さんのブログなのだから、データに裏打ちされた(ベニヤやSPF材の腐りやすさなど。対無垢材比で)書き込みが必要なのではないでしょうか?またそのデータも提示すべきだと思いました。
-----
COMMENT:
AUTHOR: 岩波正
DATE: 01/07/2007 23:51:45
Q太郎さん
短いブログでの表現ですので、詳細が記載されていないのはお許しください。
SPF材の防腐、防蟻性についてはHPの「住まいづくりの知識」に少し記載しています。
また、ベニヤ板が腐りやすいかどうかは難しいところですが、ベニヤ板の問題は、壁内に結露が起こった場合、外部に向いて湿気を逃がさない構造になっているところを問題としています。
施工が完璧であった場合、問題ないという考え方には賛成できません。工業製品であってもいつかトラブルが起こります。まして、人間の作業が多く入る住まいづくりにおいては、その地域の気候風土を考えて造るのが長い将来を考えて正しい方法だと考えています。
壁内に結露が起こった場合、ベニヤだけでなく他の樹種の木材でも問題が起こると思われますが、ベニヤを構成する樹種や接着剤を考えると好ましい選択では無いと考えます。
-----
COMMENT:
AUTHOR: Q太郎
DATE: 01/08/2007 19:07:07
回答有り難うございました。
字数制限があるので全部書けませんが、一部だけ書きます。
SPF材の防腐、防蟻性についてはHPのデータを拝見しました。
私がお聞きしたかった一つは、2×4の本場(?)「USAの南東部」で柱が腐る被害はあるのか?という点です。この辺りではシロアリも多いと聞きます。それともUSAではSPF材以外の、防腐、防蟻性の高い木材で2×4が作られているのでしょうか?
「USAの南東部」こそ「湿気の多い気候風土」ではないのかなぁと、思ったのです。
-----
COMMENT:
AUTHOR: 岩波正
DATE: 01/09/2007 13:53:40
Q太郎さん(1)
アメリカ南東部で2×4住宅が多く建てられているかどうか、正確には私はわかりません。2×4住宅といえば、北米および南西部の物だと思っていました。では、南東部ではどんな家がつくられているのだろうと思ってもみませんでした。
ネットで調べてみましたが、レンガ造りが多いという記載もありましたが、2×4住宅も建っているのでしょうね。
大事なことはその構法がその建てられている地域の気候風土において大丈夫かどうかということです。アメリカ南東部の温暖で湿潤な気候というのが日本と同じなのか。
大きな分類では同じ区分になっても、建物に影響がある中身としてはかなり違いがあるのではないかと思います。
-----
COMMENT:
AUTHOR: 岩波正
DATE: 01/09/2007 13:54:40
Q太郎さん(2)
だから、あの地域で大丈夫かどうかというより、自分たちの日本で大丈夫かということを考えた方がよいと思います。
もちろん、アメリカ南東部の建て方に参考になるものがあるかもしれませんけれど、私はそこまでして日本で2×4住宅を建てる意味をあまり感じません。
2×4に使われる木材もアメリカではSPF材はあまり使われていないと聞いたことがあります。
ダグラスファー(ベイマツ)が主流だと聞いたことがあります。こちらも真偽はわかりませんが、そんなこともあるのではと思ったりしています。
結局、日本における2×4住宅は中身の良さではなく、費用を抑えて儲けを出すために導入されたものですから、本来住まいに適当な木が使われているとは限らないと思います。
-----
COMMENT:
AUTHOR: 岩波正
DATE: 01/09/2007 14:02:12
Q太郎さん(3)
私たちが日本に住まいながら家を建てる。これは日本の中でも表日本と裏日本の違い。内陸部と海岸沿いの違い。寒冷地と温暖地の違い。風が強い地域。それぞれ建物を考えるにあたり工夫が必要となります。
寿命の短い住まいであれば少々のことは何とでもなると思いますが、日本全体で安くて早くて地震にも強く、なおかつ耐久性のある住まいを考えること自体が無理な話ではないでしょうか。
ハウスメーカーなどはその無理を押してでも規格化し、工業化することにより利益を出していこうとしているのだと思いますが、それが住まい手のためになるとは思えません。
住まいづくりの最重要点を費用と考えるなら別ですが。。。
-----
COMMENT:
AUTHOR: Q太郎
DATE: 01/13/2007 20:54:37
USA東南部は、煉瓦の家が多いのですか。知りませんでした。私も思いこみで書いていたのですね。
気候や風土に合わせた家造りは当然だと思っています。
四国の杉で東北などに家を建てても、合わないでしょう。
ただ、
>アメリカ南東部の温暖で湿潤な気候というのが日本と同じなのか。大きな分類では同じ区分になっても、建物に影響がある中身としてはかなり違いがあるのではないかと思います。
と書かれている部分。
私のような素人が「思うのだ」と書くのとプロの建築士が「思うのだ」と書くのでは、文の重みが違うと思います。
(続)
-----
COMMENT:
AUTHOR: Q太郎
DATE: 01/13/2007 21:02:25
本文でも
「何年ぐらいまでなのでしょう」という書き方では単に不安を煽っているだけのように感じるのです。
「○○のデータによれば耐久は□□年とされている」と書くべきではないかと。
「かなり違いがあるのではないか」と書かれるのより、「違いがあるのだ」と書くだけのデータを持って、書かれるべきではないかと思うのです。それがプロではないかと。
ちょっと失礼な書き方になりました。
Posted by 八ヶ岳の松 at 2007年01月06日 11:35