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2007年03月26日

能登半島で震度6強

昨日、石川県能登半島で震度6強の地震が発生しました。

改めて日本列島は地震の巣であるということを思い知らされますね。
富山事務所でも大きなゆれを感じたそうです。

こういう地震などがあると恐怖心から冷静な判断を失ってしまうことがあります。
冷静な目でものをみることが非常に大事です。

阪神大震災のときも木造家屋が弱いという風評が出ました。
最近では、そうではないことは学者の研究などではっきりしていますが、映像に映る建物は木造がほとんどなので木造建築物が地震に弱いと勘違いしてしまいます。

木造だけでなく、耐用年数を超え、メンテナンスが不足している建物は地震に弱いということです。
木造建築は、他の建物より長持ちするという特徴があります。
鉄筋コンクリートの建物は50年も経てば壊されてしまうことが多いのですが、木造建築はもっと長持ちします。そこで、雨漏りやシロアリ被害などに対してのメンテナンスが行なわれていないと被害が起きてしまいます。特に建物の構造が問題なのではなく、建物の老朽度が問題なのだと考えてよいと思います。

その証拠に、地震で倒れた建物の映像をみるとわかります。どうしても、破壊されて無残な建物に目が行きがちですが、同じような建物が、同じ地域で平気で建っています。
もし木造が弱いということでしたら、その地域のすべての木造建築物が倒壊しておかしくないのですが、よくみると倒れた建物はごく一部で、ほとんどの建物が無事建っています。
テレビの映像は、衝撃的な部分ばかり映し出しますので、ほとんどの建物が壊れたように錯覚しますが、実はそうではないのです。
皆さんも映像を見るときに、壊れた建物を見ずに回りの建物に目をやってみてください。

いずれにしても、古くて老朽化が進んだ建物が危ないことには変わりはありません。
ただ、激震地で無事な建物も、国土交通省や都道府県で進めている耐震診断では倒壊すると判定される建物が多いと思います。
そういう建物でも倒壊していないということは、ほんの少しの状態の違いが地震被害の大きさに影響があるということです。
ですから、完璧な耐震改修でなくても、その建物に可能な対策だけでも大きな地震に対して耐震効果があると考えても良いと思います。

耐震診断を受けると、安全とされる数値1に対して、0.3などと非常に低い数値がでることがほとんどです。
その数値をみて、ほとんどの人はもう耐震改修の意欲をなくしてしまいますが、実は1になるような改修でなくても効果があるということだと思うのです。

国や都道府県の行政が進める対策はすべて数値主義。
数値が1を超えても危険な建物もあると思いますし、数値が1に達しなくても充分効果が発揮できる場合があります。
法律や制度をあてにするのではなく、技術者や職人を頼りにして、今できる対策をできる限り行なうことでかなりの耐震効果が発揮できると思います。

阪神大震災の時のように、木造建築が弱い、瓦屋根が弱いなどの不正確な情報で日本の大事な木造建築文化が失われないようにして欲しいと思います。



Posted by 三和総合設計 at 07:20│Comments(0)
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