
2007年07月17日
緊急 中越沖地震に思う
みなさんもご存知のように昨日、中越沖地震が発生しました。
現在で死者9名、家屋の倒壊は1000棟弱に達しているようです。
今回の地震で、またまた考え方を変えなければなりません。
中越地震からまだ3年しか経っていません。
大きな地震が起こったその後は当分の間、同じ地域に大きな地震が起こることはないというのが常識でした。
地震の専門家の人たちに言わすと、前回の中越地震と今回の中越沖地震は動いた断層が違う可能性かあるといっていましたが、一般の人間にとっては前回の地域と今回の地域にほとんど違いはありません。
長岡や小千谷なども大きなゆれを観測しています。
今回の地震を教訓にすると、地震の常識はほとんど当てにならないと考えてよいようです。
いつものように古い木造家屋が倒壊しました。
築100年ぐらい経っている建物ややはり間口に耐震要素が少ない感じの建物のように見えますが、全国各地に倒壊の可能性がある建物は数多くあると思われます。
何とか手を打たないといけません。
死者の方々は相変わらず高齢の方が多いようです。
高齢の方が避難などに対応できなかったわけではなく、高齢の方が耐震性の低い建物に住まざるを得ないという状況にあるのではないでしょうか。
以前、阪神大震災の調査に出かけたときにも聞かされたのですが、高齢の単身の方々が、地震が来れば確実に壊れそうな家にたくさん住んでおられるのです。
危ないとわかっていても、収入を考えるとこんな家に住まざるをえないというお話をされていましたし、古い木造アパートのオーナーも高齢者で、後継者もいないため、新たに新しい建物に建て替えることもできないということでした。
地方の町では、阪神地方と少し事情は違うと思いますが、地域格差により若い世代の流出が多く、若い世代との同居などが出来ずに、耐震性が低くなった建物のメンテナンスが出来ていないのが被害の拡大につながっているのだと思います。
木造在来工法の家屋は、他の構造の建物と違い、地震などが無ければ100年も持ってしまいます。
この間適切なメンテナンスが行なわれれば、耐震性も確保できると思いますが、メンテナンスが出来ないような社会構造になっていることを考えなければなりません。
もちろん、木造家屋の建設をやめようということではなく、100年近くの耐久性が活かせる社会構造の再構築を考えるということが大事だと思います。
いつものように地震があると、ハウスメーカーなどから地震に強い構造などが売り文句としてPRされますが、勘違いをして耐久性の低い(長持ちしない)建物をたてることは間違いです。
プレハブ住宅の被害が少ないのは古くなると使い物にならないため、早く壊されているからです。
社会構造の改革、地域格差の是正、自活できる地域づくり。
耐震とは一見関係が無いように思えますが、これが第一番の対策ではないかと思います。
国や都道府県が耐震改修を訴えますが一向に進む兆しが見えません。
危機感の欠如もありますが、実際、耐震改修するための費用がないということや、耐震改修しても将来その建物の使い道が見えないということもあるのではないかと思います。
もうひとつ問題があるように思います。
国が基準化している耐震改修の方法に問題があるように思います。
制度などは東京を中心につくるからかもしれませんが、伝統的な木造住宅の耐震診断をすると非常に低い値になります。
これは、壊して建て直しなさいと言っているようなものです。
しかし、その建物はどう見ても多少の補強をすれば充分な耐震性を保てるように思えるのですが、どうしても数値化するとそういう答えになってしまいます。
そうすると住まい手の方々は建て直すまでのお金は無いしということでそのままにされます。
今回の地震を見てもわかるようにすべての建物が壊れるわけではありません。
TV映像で映りだされるのでほとんどの建物が倒壊しているように誤解する人もあるかと思いますが、逆にほとんどの建物が倒壊していないのです。
ですから、満点の耐震改修でなくても、耐震診断の低い評点であっても、少し手を入れるだけで結果は大きく違うのです。
国の基準をつくる人たちは自分たちの責任を考え、何でもきつい基準をつくりたがります。それがむしろ被害を大きくすることもあるのだと考えてほしいと思います。
いつも書いているように、法律や制度で物事を考えるようになってしまっていますが、被害を少しでも抑えるためには、確かな技術者作りとその技術者に対する信頼というのが大切になります。
私たちが耐震診断をしたり、耐震改修をすると、基準に合わない助言などをすると責任を追及される可能性があります。
思いも寄らない中越沖地震の発生は、私たちに数多くの考え直さなければならない問題点を示しているように思います。
現在で死者9名、家屋の倒壊は1000棟弱に達しているようです。
今回の地震で、またまた考え方を変えなければなりません。
中越地震からまだ3年しか経っていません。
大きな地震が起こったその後は当分の間、同じ地域に大きな地震が起こることはないというのが常識でした。
地震の専門家の人たちに言わすと、前回の中越地震と今回の中越沖地震は動いた断層が違う可能性かあるといっていましたが、一般の人間にとっては前回の地域と今回の地域にほとんど違いはありません。
長岡や小千谷なども大きなゆれを観測しています。
今回の地震を教訓にすると、地震の常識はほとんど当てにならないと考えてよいようです。
いつものように古い木造家屋が倒壊しました。
築100年ぐらい経っている建物ややはり間口に耐震要素が少ない感じの建物のように見えますが、全国各地に倒壊の可能性がある建物は数多くあると思われます。
何とか手を打たないといけません。
死者の方々は相変わらず高齢の方が多いようです。
高齢の方が避難などに対応できなかったわけではなく、高齢の方が耐震性の低い建物に住まざるを得ないという状況にあるのではないでしょうか。
以前、阪神大震災の調査に出かけたときにも聞かされたのですが、高齢の単身の方々が、地震が来れば確実に壊れそうな家にたくさん住んでおられるのです。
危ないとわかっていても、収入を考えるとこんな家に住まざるをえないというお話をされていましたし、古い木造アパートのオーナーも高齢者で、後継者もいないため、新たに新しい建物に建て替えることもできないということでした。
地方の町では、阪神地方と少し事情は違うと思いますが、地域格差により若い世代の流出が多く、若い世代との同居などが出来ずに、耐震性が低くなった建物のメンテナンスが出来ていないのが被害の拡大につながっているのだと思います。
木造在来工法の家屋は、他の構造の建物と違い、地震などが無ければ100年も持ってしまいます。
この間適切なメンテナンスが行なわれれば、耐震性も確保できると思いますが、メンテナンスが出来ないような社会構造になっていることを考えなければなりません。
もちろん、木造家屋の建設をやめようということではなく、100年近くの耐久性が活かせる社会構造の再構築を考えるということが大事だと思います。
いつものように地震があると、ハウスメーカーなどから地震に強い構造などが売り文句としてPRされますが、勘違いをして耐久性の低い(長持ちしない)建物をたてることは間違いです。
プレハブ住宅の被害が少ないのは古くなると使い物にならないため、早く壊されているからです。
社会構造の改革、地域格差の是正、自活できる地域づくり。
耐震とは一見関係が無いように思えますが、これが第一番の対策ではないかと思います。
国や都道府県が耐震改修を訴えますが一向に進む兆しが見えません。
危機感の欠如もありますが、実際、耐震改修するための費用がないということや、耐震改修しても将来その建物の使い道が見えないということもあるのではないかと思います。
もうひとつ問題があるように思います。
国が基準化している耐震改修の方法に問題があるように思います。
制度などは東京を中心につくるからかもしれませんが、伝統的な木造住宅の耐震診断をすると非常に低い値になります。
これは、壊して建て直しなさいと言っているようなものです。
しかし、その建物はどう見ても多少の補強をすれば充分な耐震性を保てるように思えるのですが、どうしても数値化するとそういう答えになってしまいます。
そうすると住まい手の方々は建て直すまでのお金は無いしということでそのままにされます。
今回の地震を見てもわかるようにすべての建物が壊れるわけではありません。
TV映像で映りだされるのでほとんどの建物が倒壊しているように誤解する人もあるかと思いますが、逆にほとんどの建物が倒壊していないのです。
ですから、満点の耐震改修でなくても、耐震診断の低い評点であっても、少し手を入れるだけで結果は大きく違うのです。
国の基準をつくる人たちは自分たちの責任を考え、何でもきつい基準をつくりたがります。それがむしろ被害を大きくすることもあるのだと考えてほしいと思います。
いつも書いているように、法律や制度で物事を考えるようになってしまっていますが、被害を少しでも抑えるためには、確かな技術者作りとその技術者に対する信頼というのが大切になります。
私たちが耐震診断をしたり、耐震改修をすると、基準に合わない助言などをすると責任を追及される可能性があります。
思いも寄らない中越沖地震の発生は、私たちに数多くの考え直さなければならない問題点を示しているように思います。
Posted by 三和総合設計 at 06:30│Comments(1)
この記事へのコメント
筋交しか分からないリフォーム業従事者に、それっぽい資格を乱発している
ということはないのでしょうか。
低層住宅を軽視した20世紀の建築士育成課程にも問題あるような気がします。
それよりも、フォッサマグナのそばにある柏崎原発の設計時の想定が
たったの273ガルということで、強い直下型地震の1割位しかなかったことに、
大きな驚きを持っております。
今回は、たまたま地震の強さもM6台しかなく、震源も少し離れており、
自動停止等のしくみも有効に働いたので、最悪の事態は避けられましたが、
一歩間違えれば、個々の耐震補強なんか意味をなさないくらい、
別次元の大きな問題が露見したと思っています。
逃げる時間を確保する思想と絶対に壊れてはいけない思想は異なりますが、
これを機に全国の原発設計を0から見直して欲しいと思います。
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COMMENT:
AUTHOR: 岩波正
DATE: 07/17/2007 22:28:34
原発の原子炉など重要機器の設計想定が273ガルだと知って私も驚いています。
273ガルだと震度5強程度に対する耐震性能ではないかと思います。
阪神大震災、鳥取地震、中越地震など1000ガル近くの揺れを観測している中で、原発の設計想定が300ガル未満なんて信じられません。
大きな揺れで倒壊している建物は、古くて問題がある建物が多いと思いますが、原発に震度6強程度の揺れが直接襲ったときにどんなことが起こるのか恐ろしい話です。
建物被害が少なくても、放射能被害で遠く関東までやられてしまうことも考えられるのではないでしょうか。
もう一度すべての原発の設計想定を発表していただきたいと私も思います。
Posted by おいう at 2007年07月17日 11:11