2009年06月06日
長期優良住宅
最近、住宅業界では「長期優良住宅」という言葉が飛び交っています。
今朝も安売りを売り物にしているTホームの広告チラシに大きく「長期優良住宅」と書かれていました。
「長期優良住宅」は少し前200年住宅と呼ばれていたものです。
200年住宅という言い方は、本当に200年持つほどの家ということではなく、100年○○住宅という呼び方の制度が以前あったため、それに対して200年と言うほうがインパクトがあるだろうという安易な考え方で名づけられたものです。
さすがに200年住宅という言い方はまずいということで、超長期住宅とも一時的に呼ばれたと思いますが、最近では「長期優良住宅」と呼ばれることになりました。
「長期優良住宅」は税金の軽減など住まい手の方々にとって良いことがあると思いますが、その実態を良く知って判断していただきたいと思います。
今朝のTホームの宣伝には「長期優良住宅」対応。価格はそのまま25.8万円(坪単価)と書かれていました。
いかがでしょう。
同じ値段で長く持つことができる優良な住宅ができるのならいいじゃないかとほとんどの方が考えられたのではないでしょうか。
でも少し違うのです。
その宣伝に書いているように、今までの仕様でも少し断熱材の厚さを増やすなどをすれば簡単に対応できる基準などです。
住まい手の方にとって、税金の減免などがされるのは良いことですが、その建物が今までの建物より長持ちすると考えるのは危険なことです。
まして「長期優良住宅」なのだからといって、50年ローンを組んでみたら、30年ぐらいで壊すことになって、ローンの特徴であるのですが、利息ばかりたくさん返し、銀行を喜ばすだけで、多額の借金を抱えてしまうということにもなりかねません。
「長期優良住宅」の基準は最近まで建売業者などが建てている建物に少し断熱材を増やすぐらいで可能になります。
床にはベニヤ板がバンバン貼られ、建材やプラスチックが使われていても「長期優良住宅」です。
構造体に腐りやすい外国産の木が使われていても何の問題も無く「長期優良住宅」に該当します。
結局、今回の「長期優良住宅」もハウスメーカーを中心とする住宅業界の売り物探しなのです。
実際のところ、ちょっと前から建てられている住まいの耐久性は建物の寿命と言われている30年程度より高いと思います。
それでもなぜ30年で壊されるのか。
構造体の耐久性がなくなることも多少ありますが、30年ぐらいたつとあちこちが痛んできて、使っている材料も安っぽくていやになっている。そこにツーバイフォーやプレハブの特徴なのですが、改造がしにくいという問題がかぶさってきます。
改造するにもすごくお金がかかりそうだし、その改造も制約がある。使っている材料も良いものではないのでここでお金をかけてもこの後何年持つかわからない。やっぱり壊して新しい家を建てようということになっているのが本当のところでしょう。
国が業界と一緒になって作る基準なんてそんなものです。
その基準はもちろん今までよりは少し厳しくはなっていますが、正確なものではありません。
未だに「長期優良住宅」のことを200年住宅と書いているハウスメーカーもあります。
200年と言う言葉をまず出しておいて、後で名前を変える。
そうすると、住まい手の方には200年という言葉が頭に残るという感じでしょうか。
本当に長持ちする住宅の代表と言えば、日本の伝統的な民家などがあげられるでしょう。
でも今の「長期優良住宅」の制度では、民家は「長期優良住宅」に該当しません。
細かな決められている基準に適合しない部分があるからです。
いかがですか。すでに長持ちすることが実証されている住まいが適合しない基準って本当に正しいものでしょうか。
いつでもそうなのですが、基準や制度は犯罪のような行為があったときとか、住宅業界の浮揚を図るときとかに作られたりします。
ですから、日本の昔からある住まいはいつも蚊帳の外なのです。
耐久性の高い建物が残っていない東京で、官僚の方々が業界の方と一緒に住まいの販売を促進させるために作っていることが多いのです(もちろん少しばかりの改善点は含まれていますが)。
もう一度整理しましょう。
これからどんどん宣伝される「長期優良住宅」は本当に耐久性が高まるということではありません。
断熱の仕様と、耐震性のグレードが少しアップしているだけです。
断熱の仕様は本当にアップしていますが、耐震性のアップはベニヤ板を多用することで簡単に対応できることです。
でもそれって耐久性アップに逆行していませんか。
ですから、ハウスメーカーでは対応することは難しいことではないので、それにより多くのお金を払うことはばかげています。
でも、同じ値段でできると言うのも、また、とんでもないことです。
仕様が上がった分はいくら少しでも値段が上がるのが当たり前の話です。
Tホームのようにただでも職人さんの手間を切り詰めている業者が、アップした分をどこに添加するのでしょう。
欠陥住宅の比率が増えると考えるのが正しいのではないでしょうか。
制度にあわせることができれば、その制度により優遇される内容については手に入れることが可能です。
でも、この制度により飛躍的に建物の耐久性が高まるということはほとんど考えられないと断言しても良いと思います。
本当に耐久性の高い建物を建てようということなら、その制度に対応していなくても伝統的な良さを生かした住まいを建てることが大事です。
特に構造体も大事ですが、30年たったときにまだ愛着が持てそうな住まいを作ることが大事なのです。
30年経ってまだ愛着の持てるプレハブ住宅がどこかに残っていますか。
小さいころ遊んだプラスチックのおもちゃ。
テレビで放映されていたアニメに乗せられて買ったもの。
まだ壊れている訳じゃないけれど、愛着は持てない。
もう捨てよう(もう捨てているかもしれないけれど)。
そんなものです。
もちろん修理することもできません。
それに引き換え、昔の木のおもちゃ。
何年経っても刺激はそんなに大きいわけではないけれど、楽しめそうなので残しておこうと思いませんか。
長持ちする住まいは、構造体だけでなく、中身もすばらしく、なお修繕できるものでなくては実現できません。
構造体に腐りやすい外国産の集成材を使い、仕上げにはタイルや木材の偽者の建材を使い、増改築のしにくい構法で家を建てる。
こんな中身の住まいが対応できる「長期優良住宅」って本当に意味があるでしょうか。
よーく調べてみてくださいね。。。
ところで、6月14日(日)に構造見学会を開催します。
ぜひお越しください。
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今朝も安売りを売り物にしているTホームの広告チラシに大きく「長期優良住宅」と書かれていました。
「長期優良住宅」は少し前200年住宅と呼ばれていたものです。
200年住宅という言い方は、本当に200年持つほどの家ということではなく、100年○○住宅という呼び方の制度が以前あったため、それに対して200年と言うほうがインパクトがあるだろうという安易な考え方で名づけられたものです。
さすがに200年住宅という言い方はまずいということで、超長期住宅とも一時的に呼ばれたと思いますが、最近では「長期優良住宅」と呼ばれることになりました。
「長期優良住宅」は税金の軽減など住まい手の方々にとって良いことがあると思いますが、その実態を良く知って判断していただきたいと思います。
今朝のTホームの宣伝には「長期優良住宅」対応。価格はそのまま25.8万円(坪単価)と書かれていました。
いかがでしょう。
同じ値段で長く持つことができる優良な住宅ができるのならいいじゃないかとほとんどの方が考えられたのではないでしょうか。
でも少し違うのです。
その宣伝に書いているように、今までの仕様でも少し断熱材の厚さを増やすなどをすれば簡単に対応できる基準などです。
住まい手の方にとって、税金の減免などがされるのは良いことですが、その建物が今までの建物より長持ちすると考えるのは危険なことです。
まして「長期優良住宅」なのだからといって、50年ローンを組んでみたら、30年ぐらいで壊すことになって、ローンの特徴であるのですが、利息ばかりたくさん返し、銀行を喜ばすだけで、多額の借金を抱えてしまうということにもなりかねません。
「長期優良住宅」の基準は最近まで建売業者などが建てている建物に少し断熱材を増やすぐらいで可能になります。
床にはベニヤ板がバンバン貼られ、建材やプラスチックが使われていても「長期優良住宅」です。
構造体に腐りやすい外国産の木が使われていても何の問題も無く「長期優良住宅」に該当します。
結局、今回の「長期優良住宅」もハウスメーカーを中心とする住宅業界の売り物探しなのです。
実際のところ、ちょっと前から建てられている住まいの耐久性は建物の寿命と言われている30年程度より高いと思います。
それでもなぜ30年で壊されるのか。
構造体の耐久性がなくなることも多少ありますが、30年ぐらいたつとあちこちが痛んできて、使っている材料も安っぽくていやになっている。そこにツーバイフォーやプレハブの特徴なのですが、改造がしにくいという問題がかぶさってきます。
改造するにもすごくお金がかかりそうだし、その改造も制約がある。使っている材料も良いものではないのでここでお金をかけてもこの後何年持つかわからない。やっぱり壊して新しい家を建てようということになっているのが本当のところでしょう。
国が業界と一緒になって作る基準なんてそんなものです。
その基準はもちろん今までよりは少し厳しくはなっていますが、正確なものではありません。
未だに「長期優良住宅」のことを200年住宅と書いているハウスメーカーもあります。
200年と言う言葉をまず出しておいて、後で名前を変える。
そうすると、住まい手の方には200年という言葉が頭に残るという感じでしょうか。
本当に長持ちする住宅の代表と言えば、日本の伝統的な民家などがあげられるでしょう。
でも今の「長期優良住宅」の制度では、民家は「長期優良住宅」に該当しません。
細かな決められている基準に適合しない部分があるからです。
いかがですか。すでに長持ちすることが実証されている住まいが適合しない基準って本当に正しいものでしょうか。
いつでもそうなのですが、基準や制度は犯罪のような行為があったときとか、住宅業界の浮揚を図るときとかに作られたりします。
ですから、日本の昔からある住まいはいつも蚊帳の外なのです。
耐久性の高い建物が残っていない東京で、官僚の方々が業界の方と一緒に住まいの販売を促進させるために作っていることが多いのです(もちろん少しばかりの改善点は含まれていますが)。
もう一度整理しましょう。
これからどんどん宣伝される「長期優良住宅」は本当に耐久性が高まるということではありません。
断熱の仕様と、耐震性のグレードが少しアップしているだけです。
断熱の仕様は本当にアップしていますが、耐震性のアップはベニヤ板を多用することで簡単に対応できることです。
でもそれって耐久性アップに逆行していませんか。
ですから、ハウスメーカーでは対応することは難しいことではないので、それにより多くのお金を払うことはばかげています。
でも、同じ値段でできると言うのも、また、とんでもないことです。
仕様が上がった分はいくら少しでも値段が上がるのが当たり前の話です。
Tホームのようにただでも職人さんの手間を切り詰めている業者が、アップした分をどこに添加するのでしょう。
欠陥住宅の比率が増えると考えるのが正しいのではないでしょうか。
制度にあわせることができれば、その制度により優遇される内容については手に入れることが可能です。
でも、この制度により飛躍的に建物の耐久性が高まるということはほとんど考えられないと断言しても良いと思います。
本当に耐久性の高い建物を建てようということなら、その制度に対応していなくても伝統的な良さを生かした住まいを建てることが大事です。
特に構造体も大事ですが、30年たったときにまだ愛着が持てそうな住まいを作ることが大事なのです。
30年経ってまだ愛着の持てるプレハブ住宅がどこかに残っていますか。
小さいころ遊んだプラスチックのおもちゃ。
テレビで放映されていたアニメに乗せられて買ったもの。
まだ壊れている訳じゃないけれど、愛着は持てない。
もう捨てよう(もう捨てているかもしれないけれど)。
そんなものです。
もちろん修理することもできません。
それに引き換え、昔の木のおもちゃ。
何年経っても刺激はそんなに大きいわけではないけれど、楽しめそうなので残しておこうと思いませんか。
長持ちする住まいは、構造体だけでなく、中身もすばらしく、なお修繕できるものでなくては実現できません。
構造体に腐りやすい外国産の集成材を使い、仕上げにはタイルや木材の偽者の建材を使い、増改築のしにくい構法で家を建てる。
こんな中身の住まいが対応できる「長期優良住宅」って本当に意味があるでしょうか。
よーく調べてみてくださいね。。。
ところで、6月14日(日)に構造見学会を開催します。
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Posted by 三和総合設計 at 08:09│Comments(0)
│変だぞ!今の住まいづくり(正)