2010年06月30日

光と影

今日は、京都新聞の社説から。光と影

高速道路の無料化についての記事で、「光だけでなく影も見るべきだ」という主張です。

光があって影がある。影というのは物事を立体化して見せ、建物に味を持たせてくれます。
しかし、ここでの影というのは、あまり良いものではなりませんね。

無料化によって得られる効果は、一般道の渋滞緩和、物流コストの低減等、観光客の集客増、渋滞緩和による二酸化炭素排出の減少などが言われています。
これらは光の部分ですね。

では影の部分はどんなことがあるでしょうか。
一般道沿いの商店の客の減少、高速道路と競合する鉄道会社の客の減少などがあげられています。

全くそのとおりですね。
今回の高速道路の無料化は、単なる無料化ではなく、期限付きの社会実験ということになっています。
社会実験ですから、交通量の調査などが行われますが、なかなか影の部分の調査やそれに対する対策などは考えられないのではないでしょうか。

社説にも、地球温暖化防止に向けて持続可能な社会の実現を目指すのなら鉄道網の拡充が望ましいし、高齢化が進む地域には立派な道路よりも移動手段の確保のほうが重要だと書かれています。

何事も冷静に、公平に、かつ、将来のビジョンを持って判断することが重要ですね。

ここで私達が関わっている住まいの話を少し書きます。

住まいについても同じことが言えます。
住宅メーカーは住まい手にとって「光」に見える部分ばかり強調して宣伝します。
一般的に見て、メーカーなどは自社の利益を上げることが最重要課題ですから、社会的な「影」の部分はどうしても後回しになってしまいます。

逆に、伝統を重んじ、大工技術や自然素材を使った家づくりをしている住宅供給者はどうでしょうか。
こちらは環境性など、メーカーなどの家づくりなどで少し置いていかれている部分にも充分配慮しているのですが、それをうまく説明できない。
社会性や環境性などはなかなか定量化できないのですね。

そういった状況のなかで、そういう定量化や住まい手にとってわかりやすさなどに力を入れずに、どちらかといえば精神論になり、理解者だけに支えられるということになってしまいます。

光と影といえば、伝統的な建物の良い点についても同じ。
そういったことを頑張っている人間にとってはそれは「光」なのですが、そういった建物がどんどん増えていかないとしたら、どこかに住まい手にとって「影」と思われる点があるということですね。

すばらしい点を強調することも重要なのですが、「影」になる部分の分析と、それに対する対応も重要になるということを私達は考えなければなりません。
「影」を改善しようとすると「光」がうすくなる。
それが良いかどうかは別として、住まい手にはいろいろな立場の方がおられるということを考えなければなりません。

その人にとって「影」になる部分を少し考えてあげる。
そうすればが「光」を光として採用していただけるようになるのではないかと思います。


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