2011年11月24日

ものの価値

先日、京都清水寺の中にある重要文化財の子安塔(小さな三重塔)の修理現場に出かけました。ものの価値

この塔は当初、寛永年間の建造だと思われていたようですが、実は応仁の乱(1467年だったと思う)より少し後の建造であることが、解体修理で判明したそうです(京都市職員の大工さんに聞きました)。

ものの価値

この塔は三層それぞれ違う大工の手で造られたようで、腕の良し悪しもかなり違うようです。
しかも使っている材料がばらばら。
欅があれば桧もあるが、桧の枡があればさわらを使っていたり、一部いちいの木が使われていたり、今ではかなり珍しいとがさわらの木が使われたりしているようです。

大工の手も一番上の層の大工さんは宮大工さんらしい仕事をしているようですが、その他の二層は普通の大工さんがにわか宮大工でやったのではないかと思われるような感じだそうです。

さあ、こんなばらばらの建物がなぜ重要文化財なのか。
昔、国宝の周りにある建物は防災上自動的に重要文化財に指定されると聞いたことがあります。
でもこの塔は有名な本堂からは谷一つ隔てた場所にあります。

ではなぜなのか。
昔の遺構が色濃く残っているからです。
この解体修理でさらにそれが鮮明になったようです。

応仁の乱で京都は丸焼けになってしまったそうです。
その後も物騒な時期が続き、腕の良い大工は地方へ出て行ってしまったようで、さらに、資材も不足していたようです。

そういったご時勢を反映して、上記のような作り方や材料の使い方になったようです。
贅沢な材料を使い、すごい腕の大工さんが作った遺構もすばらしいですが、その時期の状況を色濃く見せる建物も非常に値打ちがあるということです。

今の世の中の価値観はすべてお金。
そんなことで良いのかと考えさせられる見学でした。


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ものの価値
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