2014年10月12日

日本のものの考え方

昨日、ヘリテージマネージャーの講習会で、滋賀県東近江市の五個荘の伝建地区にいってきました。日本のものの考え方

ヘリテージマネージャーというのは、伝建地区にあるような建物、町屋、古民家など歴史的価値のあるものを活用しながら保存していこうというものです。

そういった講習会に参加しながら、日ごろ感じてしまうことをまた強く感じました。

五個荘の金堂という地区は、住民の人たちの熱意ある思いで、すばらしい建物が住みながら保存されています。
一度、訪れてみてください。

そういう素晴らしい地域でも、空き家になっている建物もあるそうです。その理由はさまざまだと思いますが、現代生活に住まいが合わないとか、地域自体の交通の利便性がわるいとかいろいろありそうです。

そういった中でもそういう地区に新たに入り込んで住んでみたいという人もいるようです。
地元行政の職員の人たちにいろいろ話を聞きましたが、そういった地区内の土地は銀行の評価が低いようです。
歴史的建造物であるため、建物の改変がしにくいなどが理由のようで、自在的な利用ができない土地は価値が低いという判断をしているようです。

世の中、何でもお金で価値を決めるのだなと思いました。さらに、その元凶となっているのが銀行。融資の額が減るといって、土地の価値がさも低いような判断を世間に植えつけているのです。

ヨーロッパなら逆でしょう。
そんなに素晴らしい伝建地区なら、評価が高いというのが普通だと思います。
もちろん評価が高いから、どんな人でも住めるかどうかはいろんな状況があるので別ですが。

お金を貸りて住まいを建てるというのが当たり前の話ですが、融資額は本来その人の返済能力によるものであって、帰せなければ土地を召し上げてしまおうというやり方が未だに続いているということです。

土地を担保にし、返済能力ぎりぎりまで貸し付ける。借りるほうもぎりぎりだから、先のことを考えた住まいを造るというより、ローンが返せるまでの間で持てばよいような(建ててる本人はそういう自覚はないかもしれませんが)建物ばかりがどんどん建設されています。

ヨーロッパの人たちは古いものほど値打ちを感じるといいます。
日本人(すべての人とはいいませんが)は少々良くなくても新しいものが良い。良いものに見せるためにどこかからけったいなデザインを持ってきてごまかします。

見学にいった伝建地区を少し外れると、収益物件のアパートが割りと建っています。
へんな飾りがなければまだよいのですが、どこの国のものかわからない変なデザインのアパートが建てられています。もちろん、屋根には実際使わないドーマーなどもついています。

もちろん、供給している人が悪いわけではありません。そういったデザインをしたほうが若者を中心とした借家人が集まるからでしょう。

昔の借家は持ち主の家よりはワンランク低い仕様で建てられていました(昭和期)。それでも醜悪なデザインはなかったと思います。

今の世の中がこんなことになった原因。よいか悪いか、それをお金を稼げるかどうかという判断にしてしまっているのです。
住環境の問題。住む土地の価値。人間の価値までお金で判断する時代になっていて、伝建地区のようなところでもそんな影響を受けているのだなと思いました。


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