2009年01月17日

阪神大震災より14年

阪神大震災より今日で14年。阪神大震災より14年

人々の意識から、少し薄れつつありますね。
震災以来さまざまな対策や法律改正がなされ、一定の進歩はあったと思います。
しかしながら、積み残しになっている問題も数多くあります。

私達が現在取り組んでいる伝統構法や既存建物の問題はまだ解決していません。
伝統構法などの耐震性を判断する基準がいまだに確立されておらず、去年からやっと国が力を入れて進めることになりました。

皆さんにも少し報告させていただいているように、昨年から伝統構法住宅の実大実験のプロジェクトに参加させていただいています。
昨年末に2棟の実大実験を行ないましたが、今までわからなかったこともいくつか見えてきたように思います。
しかし、まだまだ見えないこと、ほぼわかっているけれど対策が見えないことなど、これからの課題もたくさんあります。
今後もさらにいろいろな動きを通じて、解析に力を貸して行きたいと思います。

最初に書いたように法律の改正により耐震性は昔に比べて増したように思います。
しかし、そこには重要な部分が抜け落ちているような気がします。

激しい地震がくると、どんな建物でも被害が起こります。
でもその規模は一定ではありません。
実大実験を通じてわかったことは、大地震といってもさまざまな地震波がある。
阪神大震災の地震波であっても、一般的なものであれば普通の対策でどうにか乗り切れるが、震度7を観測した地域(帯状の地域)の揺れは簡単には乗り切れないことがわかりました。

建築基準法で想定されている建物耐力は、阪神大震災で烈震であった地域以外の地域の揺れよりもさらに小さなものです。
ですから建築基準法をクリアーしているからといって安心することはできません。
むしろ、ぎりぎりクリアーしている建物は危険だと考えるべきなのです。

耐震性を高めるために、構造用合板などが多用されています。
構造用合板でも高くつくといって、さらにわけのわからない面材が耐震材として貼られたりしています。
でも、こういった材料の経年後の耐力などは保障されたものではありません。

地震なんて住まいを造ってすぐ襲ってくるものではありません。
建物が存在する間に起こらないかもしれませんし、建物が古くなったときに襲ってくる可能性もあります。
耐震用の材料が、日本の高温多湿の気候風土で問題ないのか、建物の寿命を弱めることにつながらないのか。
そういったことを充分確かめなければならないのですが、最近の住宅は目先の耐震性だけを売り物にし、建物全体の性能などを考えていないのが実情です。

こういった問題は建物が商売のネタに使われている限りなくならないと思います。

住まいは一生住むもの。さらに次の世代に受け継いでいくべきものという考え方がない限り、お金に見合うもので良いという発想になり、しかもその欠点については隠されて販売されることになります。

住まいを本当に大切なものにするためにはさまざまな問題を解決する必要がありますが、それを進めない限り、将来忘れたころに大災害があるか、それとも耐震性を高めるために安易な方法をとったため、他の部分で問題が起きたりすると思います。

ビニルクロスや接着剤を多用したため、シックハウスがおきたようなことです。
目先の問題に対応することは重要なことですが、その他の部分に充分配慮することが重要です。

住まいを商売の道具に使う人たちは、声を大きくして人々の不安をあおります。
そうして自分達の都合の良い方向に持っていこうとします。

そういったことに踊らされないようにしなければいけませんね。


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