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2009年06月21日

低炭素社会の実現は可能か?

昨日のNHKで、「低炭素社会の実現は可能か?」という番組が放映されていました。低炭素社会の実現は可能か?

その番組では、出演者とともに視聴者にもアンケートをとっていました。
結果はというと、出演者も視聴者も両方とも実現が可能とする人、不可能だとする人が半々でした。

私はというと、番組を見ている限り不可能だなと思いました。

可能だとする人の意見では、可能不可能というのではなく、低炭素社会に何とか向かわないといけないとか、低炭素社会に向けて新しい産業に転換すれば良いとかいう話が中心でした。

かたや、不可能だと言う人の意見の多くは、これ以上経済的に疲弊すると、生活がやっていけないというものが中心でした。

私は後者の意見に同調したと言うわけではなく、出演者の方々の意見や考え方を聞いて無理だと思ったのです。

確かに経済が疲弊して生活がやっていけないことになれば問題です。
でも社会を変えるということは、そこも変えなければならないのですが、工場経営などをされている方は大手企業の下請けで、毎日のように価格要求がされ、そんな余裕がないということでした。

そうなんです。
今の下請け構造が、また、大手企業の金儲け主義がそれを阻むのです。

私が無理だと思ったのは、下請け工場の方々がそのあたりを何とかしないといけないという意見を言わずに、大手の下請けだから仕方が無いというような思いでしゃべっておられるのを聞いたからです。
また、可能であるという人も、単に低炭素社会に関連する企業に変えればよいというだけで、それが今の社会では非常に難しいということを理解しようとしていなかったように思います。

低炭素社会の実現の仕組みは簡単です。
地産地消を進めて、無駄のものを消費しない。
そういうことですね。

決して、プリウスに乗り換えたり、太陽光発電を屋根の上に寄せることが本筋ではありません。
地産地消の世の中にし、無駄遣いをやめると言うことは、長持ちする商品を作り、それを修繕しながら使い続けるということですね。
それを行うためには、金儲けが第一番という社会をやめなければなりません。
必要なものを造るとその対価がちゃんと支払われる。
修繕できる技術を大切にし、その技術に対してもちゃんと対価が支払われるということでなければなりません。

でも、大手企業は数に物を言わせてお金儲けをしようとします。
まず、地域の産業をつぶし、次に企業同士の競争を行います。
そうすると、ひとつひとつの商品ではとっても採算が取れない商品が作られ、それを大量消費することにより何とか全体の利益を確保しようとするのです。
地域の産業は、すでにつぶされてしまっていますから、大手の下請けになるしか仕方が無い。

このように大量消費社会が作られていますから、その仕組みをすべてつぶす、つまり、大手企業により支えられている社会をつぶすしかない。消費者は大手企業から物を買わないというぐらいの思いが必要ですが、そうなるでしょうか。

社会の競争が激しいと、少し経済が冷えると一気に収入が減ってしまいます。
そうすると消費者も安いものを求めるようになり、低炭素社会とは逆の方向に転がっていくのです。

まあ、NHKの番組ですから、日本の大手企業を批判するような話は無理でしょう。
でも、環境問題について意識のある人々も、そこまで考えているでしょうか。

住宅の世界では、屋根の上に太陽光発電のパネルを乗せた、プレハブ住宅が環境を歌っています。
寿命の短いプレハブ住宅を作らないで、地域の工務店が地域の材料でもって住まいを造るのが本当に環境に優しいのですが、世の中の感覚はそうではないと思います。

国の政策でも、長期優良住宅という制度が進められています。
一見、環境に優しいものを目指しているように見えますが、寿命の短いプレハブ住宅などに「長寿命のお墨付き」を与えるようなもので、業界からの圧力によって政策が進められます。

本当に低炭素社会を目指すのなら、プレハブ住宅や2×4住宅のように修繕がしにくい建物にはすぐにNGを出さなければならないが、政策は大手企業の圧力で物事が進むようになっています。

そのあたりをちゃんと変える。変えなければならないと考える人が増えないと低炭素社会の実現は不可能です。

自分達の生活の楽しさ、豊かさ(本当の楽しさ、豊かさかどうか疑問がありますが)をそのまま確保し、低炭素社会の実現など無理です。
車に乗らずに自転車に乗る。そのようにならなければなりませんが、車産業がすべて自転車産業に転換し、ばんばん自転車を作るということも無理があります。

作ったものには正当な対価を与える。
これがないと落ち着いた社会は作れません。
安いものが良いものだ。
物を買うときは競争が良いのだという考え方をやめなければなりません。

例えば、公共事業の発注の入札をやめなければなりません。
でも、そうすると良くない企業が不当な利益を上げようとするという議論がいつも出てきます。
だからと言って安い企業が良い建物を作るということではなりません。

安い企業は安いだけのことはあります。
それはプロでないとなかなか見抜けません。

助け合う社会。それが実現できないと、低炭素社会は実現できないと思います。
他の企業にいかに勝ち抜くか。こんなことを言っている限り無理ですね。

お互いの技術を協力しながら、より良い社会を実現する。
お金儲けに一生懸命の企業にはお引取りを願う。
それが環境技術を持っている企業であってもです。

住宅の世界では、地産地消、地域の木を使いましょうなどと言ってお金儲けばかり考えている企業にもお引取りをネガは無ければなりません。

地産地消。地域で産出するものを地域で消費することですが、その間に大手の企業や金儲け主義の企業が入ってはいけないのです。

どうでしょう。
そんな社会が実現できるでしょうか。
大きな枠組みから変えなくてはならないでしょう。。。。


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この記事へのコメント
おはようございます・・ 初めまして!

でしょうね(笑) 最近の皆さんの説得力ある記事を、楽しみに
読ませてもらっています。 陰ながら、、人気ランキングをポチッモネ♪
コメントは、、またゆっくりとさせていただきます。 今朝はご挨拶ですが・・・応援のエールです。
Posted by at 2009年06月22日 09:15
風さん

ご訪問ありがとうございます。
設計事務所でありながら、住まいの話や建築の話が少ない。
これで良いのかと思いながらも、言いたい放題やってます。

ランキングのポチッまでありがとうございます。
Posted by 三和総合設計三和総合設計 at 2009年06月22日 18:30
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