2010年05月20日

大壁建築

皆さん、「大壁」、「真壁」という言葉を知っておられますか。大壁建築


「大壁」は壁の仕上げが柱の外側にあって、柱の存在が見えないもの。
「真壁」は壁が柱の面より内側に仕上げてあり、柱が見える壁を言いますね。

一般的には、和室のように柱が見えているものが「真壁」で、洋室などで柱を見せない仕上げが「大壁」ということになります。
でも最近では和室であっても柱を見せない仕上げをすることも多くなっているようです。

逆に私達は「大壁」、「真壁」にとらわれずに、部屋の中の一部分だけでも「真壁」で造ってみたり、デザイン性を考えて造っています。

伝統的に考えると、日本の建築は「真壁」であると言えるのでしょうか。
防火性を重視した「蔵」は大壁ですね。
でも一般的には、古い建物は「真壁」が多いと考えて良いようです。

長らく引っ張ってきましたが、今日の本題はこれからです。

私の住んでいるところは、大津市の少し北部。
私が育った小学校区には、天智天皇が造ったという大津京跡があります。
その前にも古墳時代に多くの集落があったようで、あちこちで遺跡が発掘されています。

今朝の新聞によると、南滋賀遺跡で古墳時代の大壁造の遺構が発掘されたそうです。
大壁造りは朝鮮半島から伝来したと掲載されています。
発掘現場では、約20cmから50cmの感覚で17本の柱が溝に立てられ、壁土で塗りこめられていたようです。
(いつも思いますが、あの穴や木材の遺構からなぜそんなことが推測されるのでしょうね)

大壁造りの建物は、ほとんど滋賀、奈良でしか確認されていないようですが、滋賀県では大津市を中心に約40棟ぐらいが発見されているようです。

いつも伝統構法って何だという議論になります。
壁は「真壁」だろうという話もでます。
日本の気候風土では、柱を湿気から守るためには「真壁」が好ましいなどと。

古いことが伝統かどうかわかりません。
伝統っていつまでさかのぼるのなどという疑問もあります。

建物はその時代、時代の技術や背景をもとに工夫されて建てられているのでしょうね。

それじゃ、現代の建物もそれでいいじゃないかという声も聞こえてきそうですが、そうではないと思います。

最近の建物は、悪徳業者を取り締まり続けた結果、訳のわからなくなった法律をベースとして建てられています。
さらにそこに、住宅産業のお金もうけが加わり、住まい手に本当に良いものかどうか疑問になっています。

もちろん、今建てられている建物にも、現在の優れた技術が使われていますが、問題のあるものもたくさんあります。
日本人が持つ優れた技術が、悪徳業者を取り締まるために出来た法律により制限されてしまっていることもあります。

私達も固定観念を捨て、法律だけに基づいて建物を建てるのではなく、現在の優れた技術と今まで蓄積されてきた技術、技能を活かして、本当に住まい手のためになる建物は何なのかを考え直さなければなりません。

こんなことはあるのか解りませんが、昭和後期から平成にかけての建物の遺構が将来発掘された時、なんといい加減な建物が造られていた時代だったのだなということが未来で語られるかもしれません。


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